遺族年金、男女差なくす方向へ 5年間支給で見直し議論中 100歳時代の歩き方 イマサラQ&A
遺族年金制度が議論されている。支給期間などが変わるようだ。専門家に遺族年金について聞いた。 ◇ Q 国の審議会で遺族年金制度の見直しが議論されているというニュースを見ました A 今回、議論されているのは主に遺族厚生年金についてです。遺族年金は老齢年金と同じように基礎年金と厚生年金の2階建てです。基本的に自営業などは遺族基礎年金、会社員などは遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されますが、遺族の要件などがあるので、すべてがこの通りになるわけではありません Q 何を見直すのですか A 現在、18歳以下の子供のいない夫婦の遺族厚生年金は、夫と死別した妻が30歳未満の場合は5年間、30歳以上では終身給付されています。一方、妻と死別した夫は55歳未満は給付されず、55歳以上は60歳から給付、と男女で差があります。これを男女ともに配偶者の死亡時に60歳未満なら5年間の給付にする、というのが一つの見直しです Q ほかの見直しは A 夫と死別した40歳以上65歳未満の妻を対象に、遺族厚生年金にプラスされる中高齢寡婦加算(年61万2千円)などを段階的に廃止する方向で見直しが進んでいます Q 見直しの理由は A 遺族年金は「生計を支える夫と死別した妻は就労が困難だ」という考え方に基づいて設計されました。しかし共働き世帯が増え、男女の賃金格差も縮小されています。社会情勢に合わせてのことです Q 見直しで困る人が出るのではないですか A 特に女性は受給期間が5年と有期になると影響が大きいですよね。そのため、30~50代の妻への有期給付導入は長い時間をかけて段階的に行っていく予定です。さらに、死亡者の婚姻期間中の厚生年金加入状況に応じ、配偶者の老齢厚生年金に上乗せする制度や、遺族厚生年金を受給する際の収入要件を廃止して受給対象を広げる-などの措置もとるとされています (回答者 社会保険労務士 當舎(とうしゃ)緑)