新たな働き方「スポットワーク」のインパクト シニアや育児世代、ビジネスパーソンも #くらしと経済
リスキリングプログラムで正社員の道も
「確かにスポットワークには単純作業が多い点はあります。いくら続けてもキャリアにつながらないという指摘はあると思います」と前置きした上で小川氏はこう続ける。 「いろんな働き方を望む人がいますから、あえて非正規の働き方を選択する人もいます。でも、私たちは非正規雇用を推進したいわけではありません。むしろ何らかの理由で望まずに非正規雇用を選ばざるを得なかった人たちが、次のステップに進みたいと思っているなら、その手伝いをしたいと思っています」 タイミーでは、アプリ内で高い評価を得ているユーザーが希望すれば、リスキリング講座を受講して、正社員へと申し込めるプログラムも準備している。 「企業としても、未知の人をいきなり正社員として採用するよりもスポットワークでの働きぶりを知っている人のほうが安心して採用できます。アプリ内での評価が履歴書代わりになり、スキルの担保になっているイメージです。例えば高校を中退してしまって、正社員で申し込もうとしても書類で落とされてしまうような人に、もう一度頑張れば報われる新たなルートを作りたいんです」 すでにヒルトンホテルや日本通運と連携し、単発バイトから正社員に至った事例が生まれている。 一方で社会保険の問題については「タイミー以外の複数のスポットワークのアプリに登録することで、社会保険料を支払うことなく年間130万円以上稼ぐことができてしまうことです。複数のスポットワークサービスを併用している場合、サービスをまたいだ労務管理が必要になる。ですが、一人ひとりの稼働を突き合わせて管理するというのは、現実的ではない」と指摘する。
「現在、サービスとマイナンバーを紐づけることで誰がいくら稼いでいるのかをちゃんと可視化すべく動こうとしています」 今では介護や物流などの深刻な人手不足に悩む業界でも活用が始まったスポットワーク。その 潜在力は、ただの「単発バイト」にとどまらないかもしれない。社会の変革のトリガーになるか。注目が集まっている。 --- 「#くらしと経済」はYahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。生活防衛や資産形成のために、経済ニュースへの理解や感度をあげていくことは、今まで以上に重要性を増してきています。一方で経済や金融について難しいと感じる人も。くらしと地続きになっている日本や世界の経済について、身近な話題からひもとき、より豊かに過ごすためのヒントをユーザーとともに考えます。