新たな働き方「スポットワーク」のインパクト シニアや育児世代、ビジネスパーソンも #くらしと経済
業界最大手のタイミーは、今年に入り登録者数770万人(2024年4月末時点)、導入事業者数9万8000社(2024年2月時点)を超えるなど、利用者・利用企業ともに右肩上がりが続いている。 タイミーだけでなく、人材派遣大手のパーソル(サービス名:シェアフル)やフリマアプリを手掛けるメルカリ(サービス名:メルカリ ハロ)もスポットワーク市場に参入を果たした。矢野経済研究所によると、2023年度のスポットワーク仲介サービス市場の市場規模は、前年度比27%増の824億円になる見通しだ。さらにJR西日本が参入し、人材最大手のリクルートやディップも秋に参入予定で、市場が急拡大している。
最高齢の利用者は88歳、育児世代にも拡大
2018年にサービスを開始し、スポットワークという新たな働き方を切り拓いたタイミー代表の小川嶺氏は、拡大を続ける市場をどう見るのか。 労働力人口が6900万人といわれている中、タイミーの登録者数は770万人とかなり大きな割合だ。「それだけ自由な働き方が求められている証拠だと思います」(小川氏)。 小川氏は、もともと自身が日雇い派遣として働いていた学生時代に、履歴書を持参して説明会に参加しなければならないことや、報酬が後払いだったことへの不便さを解消するためにタイミーを立ち上げた。
当初は学生のスキマ時間を活用した単発バイトを想定していたが、30~40代のビジネスパーソンの副業としてのニーズや、冒頭の田中さんのような中高年層の利用も活発だ。 「今やシニア層の方々の多くは当たり前のようにスマホを使いこなしています。まだまだ体も元気で、引退後も社会との接点を求めている方も多い。今、利用者の最高齢は88歳です」 昨今では育児休業中の人の利用も増えている。 拡大しているのは利用者の属性だけではない。人手不足であえぐ地方都市の需要も掘り起こしにかかっている。2023年10月には北海道ニセコ町・倶知安町と包括連携協定を締結したことを発表した。人材募集広告を出す余裕のない中小飲食店やホテル・旅館がスポットワークの力を借りることで、季節によって急激に跳ね上がるインバウンド客の需要に対処することが可能になる。