「パワハラというには生ぬるい、過酷な仕打ち」従業員が会社に損害賠償を請求 屋外の“お立ち台”、 “追い出し部屋”の学習などで「さらしもの」
「追い出し部屋」で自己啓発的なネット記事を読まされ続ける
2022年12月から2023年2月まで、北澤さんは仕事を取り上げられ、職場入り口の階段下の狭いスペースに丸イスと粗末な机を置いた「追い出し部屋」ともいえる状況に置かれて「学習」を指示された。 3月以降も、職場内で他の従業員が忙しく立ち働く中で、北澤さんに対する仕事の取り上げと「学習」の強要が今年10月末まで続く。 職場の真ん中に設置されたコタツに座らされる、席の周りに黒と黄色のテープを貼られて「警戒が必要な存在」であるかのように扱われるなど、仕事の取り上げを受けている最中にも北澤さんは「さらしもの」のように扱われていた。 さらに、「学習」の内容とは、業務とは無関係の自己啓発的な書籍やネット記事を読ませられ続ける、無意味なものであったという。 10月24日、東京都労働委員会は北澤さんが受けた「仕事の取り上げ」は組合員に対する嫌がらせであり、労働組合法7条に該当する不法労働行為(違法行為)と認定。従前に行っていた業務に復帰させるよう、会社と社長に命令(行政処分)を発出した。なお、会社側は中央労働委員会に異議申し立てを行っている。 現在でも北澤さんは身体に強い負荷がかかる作業や危険を伴う作業を指示されており、会社と社長によるパワハラが続いている状況だという。
「ハラスメントに泣き寝入りするのではなく、はね返すための裁判」
原告代理人の高田一宏弁護士は、労働基準法では就業規則の公開・周知が義務付けられているにもかかわらず、閲覧しようとした北澤さんが賃金カットを受けたことを始めとして、会社側の対応にはさまざまな点で違法性があるとコメントした。 菅野委員長は「パワハラについて泣き寝入りをするのではなく、労働組合と共にはね返すための、意義深い裁判だと思う」と語る。 また、北澤さんは「会社では他の従業員はみんな社長を恐れ、給料を引かれないために波風を立てないよう、ビクビクしながら過ごしている」と指摘しつつ、裁判の意義を訴えた。 「なぜ、こんな仕打ちを受けなければならないのか。自分は、学生の頃、いじめを見て見ぬふりだけはしなかった。こんなことが許される世の中なら、何を信じていいかわからない。 もし苦しんでいる人がいたら、私を見てもらい、(ハラスメントは)はね返せるということを伝えたい」(北澤さん)
弁護士JP編集部