「製造工場は、のび太くんの家に似ていた」『脱法ドラッグの罠』著者・森鷹久氏に藤井誠二が聞く(第4回)
2014年7月、厚生労働省と警察庁により「危険ドラッグ」と名称を改められた脱法ドラッグ。現在も危険ドラッグが原因と見られる事件、事故が後を絶たない。そもそも、危険ドラッグはどれほど危険なものなのか。なぜ、若者や中高年を惹きつけるのか。販売業者や危険ドラッグ常用者への取材を重ね、『脱法ドラッグの罠』を上梓したライターの森鷹久氏に、ノンフィクションライターの藤井誠二氏が聞いた。 全5回に分けてお届けするインタビューの第4回目のテーマは、「危険ドラッグの製造の裏側」。
藤井:『脱法ドラッグの罠』では、製造現場に森さんがはいっていくところが一つの大きな山場ですね。危険ドラッグは誰がどんな場所で作ってるんですか。 森:ドラッグというより、例えば覚せい剤とかですと、よくニュースであるのが北朝鮮から密輸船が来て、日本海になんか浮き輪みたいなのを浮かべて、それでそれを暴力団が拾いに行くみたいなありますよね。確かに覚せい剤なんていうのは闇の工場みたいなところで作ってるような場合もあるとは思うんですけど、私が取材した中では案内されるまで、そこが本当に工場なのか分かんないというか、単なる一軒家だったんですね。中に入ってもふつうの一軒家のキッチンでした。 外から見ると、ちょうど『ドラえもん』に出てくるのび太くんの家、あると思うんですけど、まさに本当外観があんな感じで。 藤井:全然普通の家なんですね。工場というかんじじゃない。 森:ええ。多少間取りは違うんですけど、普通にLDKがあるような新しい家じゃなくて、ダイニングキッチンがあって、ほかに居間があって、もう1つ和室がちょっとあってというような、本当に古い家。そこのダイニングキッチンの中に置いてある普通の食卓でつくっていました。食卓には椅子が4人掛け置いてあって、本当に私の実家にあるような、いわゆる食卓なんです。その上で危険ドラッグの製造というのも行われてました。 藤井:どうやってやってるんですか。例えば葉っぱとかは、なんか刻んだりとかしてるんですか。 森:いろんなパターンがあるみたいなんですけど、私が見たのは、おおきなダンボール開けると、もう全部葉っぱなんですね、ビニール袋に入った。 藤井:なんの葉っぱか分かんない。 森:なんか分かんないです。そこの方いわく、千葉の農園のほうから入れてるというようなことをおっしゃってたんですけど。その葉っぱ自体は、ただの葉っぱなんです。