【EU】EU、森林伐採の規制を延期 大企業は25年12月から適用へ
欧州委員会は2日、欧州連合(EU)の森林伐採に関する新規制の導入を1年延期することを提案した。大企業には2025年12月30日から、中小企業には26年6月30日から適用するとしている。森林破壊に関与した企業との取引を禁止するこの規制を巡っては、影響を受ける業界やEU域内外の諸国から、延期や見直しを求める声が相次いでいた。 欧州委は今回、「世界各地のパートナーから準備が整わないとの懸念の声が繰り返し寄せられた」と説明。施行を1年先送りすることは、規則の円滑な導入に向けた「バランスの取れた解決策となる」としている。施行延期案は、欧州議会とEU理事会で承認を受ける必要がある。 同委は今回、「森林破壊防止のためのデューデリジェンス義務化に関する規則(EUDR)」の指針文書も公表し、情報システムの機能や最新の制裁内容、重要用語の定義などについて詳細に解説。EUDRの適用に向けた世界各国のリスク分類も公表し、大部分の国を「低リスク」とした。企業がデューデリジェンスの結果を入力する情報システムは、11月上旬に立ち上げ、年内に本格稼働させるとしている。 欧州委は、施行の延期と指針文書の公表により、「EUDRを確実に成功させる」としている。 EUDRは、域内で販売される製品が森林破壊に関与していないことを確認するためのデューデリジェンスを企業に義務付ける。コーヒー豆やカカオ豆のほか、木材、パーム油、牛肉、ゴム、大豆と、これらを原料とする製品が対象となる。 ロイター通信によると、同規則を巡っては3月、EU加盟27カ国のうち約20カ国が、森林伐採地で作付けを行う域内農家の輸出が不可能になるとして、欧州委に規模の縮小や停止を要請。9月には、一次生産者や産業連盟など欧州の28団体が、導入の先送りを求める共同声明を発表していた。[EU規制][環境ニュース]