小型スマホがオワコン化している理由--時代は「薄さ」を追求
小型のスマートフォンは、何年も前から珍しい代物になってしまった。そうした状況は、2025年以降も続くとみられている。サムスンとAppleの次期デバイスに関するニュースやリークが事実だとしたら、両社は今後、スマートフォンのラインアップを一新し、その結果として、より大きな画面にさらにシフトしていくことになるだろう。 【この記事の画像をすべて見る】 XでIce Universeとして活動し、これまで多くの情報をリークしてきた著名リーカーによると、サムスンはフラッグシップシリーズ「Galaxy S」の無印モデルの提供を2026年に終了する可能性があるという。これが本当なら、私たちはGalaxy Sシリーズの最小モデル(現行のシリーズだと6.2インチの「Galaxy S24」)に別れを告げなければならなくなる。米CNETは「Galaxy S26」の計画についてサムスンの担当者にコメントを求めたが、すぐに回答を得ることはできなかった。 一方、Appleは、低価格で小型の「iPhone」である「iPhone SE」の新モデルを発表するとうわさされている。しかし、MacRumorsとBloombergによると、画面サイズは4.7インチから6.1インチに大型化し、ミニモデルというよりは標準のiPhoneに近い感じになる見通しだという。 総合的に考えると、これらのニュースは、Appleが2022年に「iPhone mini」をラインアップから削除した後、小型スマートフォンが姿を消しつつある可能性を示す最新の兆候にすぎない。消費者がより大型の画面を求めていることと、ディスプレイ技術の進歩によって、小型スマートフォンは廃れつつある存在になってしまった。 スマートフォンの大型化は止まらない 巨大IT企業は2024年、モバイルデバイスにさらに大型の画面を搭載することに成功した。例として、Appleとサムスン、Googleの主要な製品の画面サイズが2023年から2024年にかけてどのように変化したのかを見てみよう。 大型化の流れは新しいものではなく、10年前からゆっくりと進んでいる。Accentureが2014年に実施した調査では、新しいスマートフォンの購入を計画している消費者のほぼ半数が、従来型のスマートフォンではなく、大画面の「ファブレット」スマートフォンに興味を持っていたことが判明している。 それから10年が経過した現在でも、大画面のスマートフォンの方が好まれていることを示す証拠がある。スマートフォン下取りサイトの「SellCell」が「iPhone 16」の発売にせんだって実施した調査では、回答者の54.9%がより大型のiPhoneを手に入れたいと答えている。 スマートフォンの大型化という流れは、納得できる動きだ。ビデオチャットから映画鑑賞、銀行取引、ショッピング、ゲームまで、今やわれわれはあらゆることにスマートフォンを利用している。消費者がより大型の画面を望むのは当然のことだ。私たちの生活で果たす役割が大きくなる中で、スマートフォンは新しい役割に合わせて適応してきた。そして、それは画面の大型化という形で現れている。 しかし、そうした状況が長く続くかどうかは誰にも分からない。よりスマートなAIベースのスマートフォン用インターフェースの開発が行われていること、そして、バーチャルアシスタントの開発もさらに進められていることから、今ほど画面を必要としない日も来るかもしれない。 小型スマートフォンが姿を消している理由 小型スマートフォンを見かけなくなったのは、ポケットに収まるサイズのスマートフォンで大画面が実現したからだけではない。それはむしろ、スマートフォン本体をそれほど大きくしなくてもディスプレイを大型化できるところまでディスプレイ技術が進歩したことを示しているにすぎない。 サムスンの「Galaxy Z Fold6」とGoogleの「Pixel 9 Pro Fold」は、デザインの変更によって大きな画面を実現した最たる例だ。Googleは、Pixel 9 Pro Foldの内部ディスプレイを囲むベゼルのサイズをPixel Foldより大幅に縮小し、ディスプレイの領域を広げた。Galaxy Z Fold6のカバーディスプレイは、ベゼルがスリムになったおかげでわずかに大きくなり、より使いやすくなっている。 スマートフォンメーカーが大型ディスプレイ搭載のデバイスに投資する金銭的な動機もある。こうしたスマートフォンは通常、小型のスマートフォンより高価であり、Appleやサムスンなどの企業にとっては平均販売価格を押し上げるチャンスとなる。 スマートフォンのデザインも単に大型化や小型化にとどまらず進化しており、大手のスマートフォンメーカーは、折りたたみ式の新しい形状やサイズを試している。小型スマートフォンは絶滅したわけではなく、サムスンの「Galaxy Z Flip6」やMotorolaの「razr 50 ultra」のように、それぞれ3.4インチと4インチのアウトディスプレイを備える縦折り式のスマートフォンに変化している。 Appleとサムスンは、より薄型のスマートフォンを開発中だとうわさされている。これも、画面サイズを犠牲にすることなく、より携帯しやすいスマートフォンを実現するための一歩だ。 画面の小さなスマートフォンはますます希少になるかもしれないが、必ずしも悪いことではない。むしろ、スマートフォンが進化している証拠なのだ。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。