片岡愛之助 演じる者の心構えと役作り「その瞬間を嘘なく生きること」
役が伝わる最大の要素はその瞬間を嘘なく生きること
体力よりも知力を駆使する馮忌役だが、今回に限らず愛之助が常に大事にしているのは「役を生きる」ことだという。 「僕ら役者は台本でセリフを覚えてしゃべっているわけで、もちろん最後どうなるかもわかっている。けれども普通生きている人って先のことはわからない。だからそこに嘘があってはいけない。会話も、その瞬間に馮忌がふっと思って、考えて、そして初めて言葉が出てくる。その間が大事で、その瞬間を嘘なく生きることがお客さんに伝わる最大の要素で、その人物に生命が吹き込まれる瞬間なんだと思います。そういうふうに生きていることをカメラで写していただくのが大事なんじゃないかと」 今後やってみたい役は……と水を向けると、「僕はラブシーンとか家庭的なシーンはほぼ経験がないんです」と明かす。「たまにはファミリー感のあるものに出たい。笑顔も何かたくらみのある笑いとかばかりしてたので、普通の父親の笑顔とか、むしろそういうほうがどうすればいいのか考えてしまうんですよね」 照れくさそうに笑う。 (写真と文:志和浩司) ■片岡愛之助(かたおか・あいのすけ) 1972年3月4日大阪生まれ。 5歳のとき「松竹芸能」子役オーディションを受け、子役としてテレビや大衆演劇等に出演。 1981年12月、十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり南座「勧進帳」の太刀持で片岡千代丸を名のり初舞台。1992年1月片岡秀太郎の養子となり大阪・中座「勧進帳」の駿河次郎ほかで六代目として片岡愛之助を襲名。 ドラマ「半沢直樹」「鎌倉殿の13人」「警視庁アウトサイダー」「大奥」、映画「仕掛人・藤枝梅安」などでも活躍。 7月28日公開の最新作映画「キングダム 運命の炎」では趙国の副将・馮忌を演じている。主演の山﨑賢人をはじめ吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、杏、山田裕貴、大沢たかおら豪華キャストが揃う。