北朝鮮が訓練のため軍人をロシアに派遣── 動き出した「ロ朝同盟」
<北朝鮮とロシアが今年6月に締結した包括的戦略パートナーシップ条約に基づき、早速、北朝鮮軍が訓練のためロシアに出発した。互いの軍事的な結びつきの強さを改めて印象付ける動きだ>
北朝鮮の首都平壌にある著名な陸軍士官学校の校長が率いる軍事訓練生が、ロシアに向けて出発した。【ビラール・ラーマン】 【動画】北朝鮮で歓迎セレモニーを受けるプーチン、露骨に「退屈そう」な様子を見せる 「飽きてる?」 ロイター通信によると、北朝鮮の軍事訓練代表団によるロシア訪問は、今年6月にロシアと北朝鮮の間で包括的戦略パートナーシップ条約が締結されて以来、初の軍事交流となる。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月に平壌を訪問し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と二国間協議を行い、パートナーシップ条約に調印した。同協定は、どちらか一方が武力侵攻を受けた場合、「あらゆる手段を用いて、遅滞なく軍事その他の援助を提供する」ことを定めている。 世界的な政情不安定のなかで、北朝鮮とロシアのこの動きは、両国の軍事的結びつきの強化を示す重要な展開だ。 北朝鮮の国営メディアは、北朝鮮軍教育幹部代表団の団長は金日成軍事大学のキム・グムチョル総長と報じているが、訪問に関してそれ以外の情報はない。 今回の訪問は、両国間の新たな条約の調印からわずか数週間後のことであり、この地域における地政学的ダイナミクスの進化を浮き彫りにしている。北朝鮮は長い間、ウクライナに対抗するための武器をロシアに供給してきた。 <西側もウクライナへ教官派遣> 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、ロシアと北朝鮮の協力関係を「朝鮮半島と欧州の平和と安全に対する明確な脅威であり、重大な挑戦」と表現した。 折しもフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ロシアと戦うウクライナ軍兵士を訓練する軍事教官をウクライナへ派遣する考えを表明していた。 ジョー・バイデン大統領はマクロンの提案に反対していると言われるが、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は、必要な手続きは既に済み、「最初のフランス人教官がまもなく訓練センターを訪問するだろう」と述べた。 ロシアはこのところ、ウクライナ全土の都市をミサイルで攻撃し、多数の死者を出している。一方、7月9日には、NATO首脳会議がワシントンで開幕し、NATO創設75周年を祝った。 時を同じくしてロシアを公式訪問中のインドのナレンドラ・モディ首相は9日、プーチンとの会談で、「罪のない子供たちの死は痛ましく、恐ろしい」と述べた。 「戦争であれ、紛争であれ、テロ攻撃であれ、人間性を信じる者なら、人の命が失われれば、心を痛めるものだ」と、モディは語った。「なかでも、罪のない子供たちが殺されれば、心に血が流れる。その痛みは実に辛いものだ」
<苛烈なロシアのミサイル攻撃>
「ロシアはウクライナ全土で民間人に攻撃を仕掛けており、それはますます残酷なものになっている」と、ピーター・スタノEU報道官(外交・安全保障政策担当)は本誌に語った 「先日も、ロシアはウクライナのいくつかの都市に大規模な攻撃を数回にわたって仕掛け、数十人が死亡、多数の負傷者が出るなど、多くの民間人が犠牲となった。ウクライナ最大の小児科施設であるキーウのオーマトディト小児病院はミサイルの直撃を受けた。産科病院も被害を受けた」