センバツ甲子園 有田工、粘り最後まで はつらつプレーで魅了、温かい拍手 /佐賀
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は大会第4日の22日、有田工が国学院久我山(東京)と対戦、4―2で敗れた。創部122年目にして初のセンバツ出場を果たした有田工は一回に先制点を奪われて相手優位となったが、八回に上原主将が適時打を放ち、最後まで粘り強さをみせた。主戦の塚本も得意の変化球や二塁へのけん制で得点圏の走者を幾度もしのいだが、相手打線にかなわなかった。「県勢として22年ぶりの勝利を」との目標には届かなかったが、はつらつプレーで魅了した有田工ナインにはスタンドから温かい拍手が送られた。【井土映美、白川徹】 一回裏で迎えた2死一、三塁の大ピンチ。決め球のカットボールが甘く入ったのを相手が見逃さなかった。先制点を許し、主将の上原は「初回の失点がなければ自分たちの流れになっていたのでは」と悔しがった。だが、強豪相手にも大量得点は許さなかった。 四回表2死二塁、上原の適時打で1点差に迫った。しかし、制球力が武器の主戦塚本のストレートが緊張から高めに浮き、打線も七回表で迎えた満塁の好機を生かせなかった。 3点を追う八回表2死一、二塁の好機、再び打席に立った上原は「(塚本)侑弥のために絶対返す」と適時打で1点を返し、一塁ベースで満面の笑み。球場を盛り上げた。 守備から流れを作る有田工。二回裏で山口駿が好捕、四回裏では上原が盗塁を試みた相手走者を刺殺し、八回裏は遊撃手相川のサインで塚本がけん制球で二塁走者を仕留めた。相手の機動力を封じる一方で、失策から得点を奪われるなど、冬に強化したノックの成果は出し切れなかった。 2回戦には進めなかったが、チームに貢献した上原の父慎さん(51)は「よくやった。お疲れさま」と笑顔。母美紀子さん(49)も「帰ってきたら好物の牛丼を作ってあげたい」と健闘をたたえた。 ◇演奏とスタンド、一体で選手応援 有田工の勝利を願った約1000人がそろいの赤のジャンパー姿でスタンドに集った。 力強い演奏で選手を鼓舞したのは同校吹奏楽部のメンバーら。同部は2021年12月、センバツ出場を見越して練習を開始したが当初部員はわずか8人だった。初心者2人を含む3人を急きょメンバーに誘い、22年1月からは吹奏楽部OBらが参加。「晴れ舞台」には総勢21人で臨んだ。 甲子園に初出場した13年の曲目「アフリカンシンフォニー」や「タッチ」などを「縁起がいい」と採用。サックスを始めて1カ月半という木宿翔天(とあ)さん(2年)は「まだうまくないかもしれないが、気持ちでは負けない」と力を込めた。追いかける試合展開となったが、前田悠花部長(3年)は「心を込めた演奏で野球部を後押しできた」と満足げだった。 試合前夜にバスで同校を出発し、スタンドに応援に駆け付けた約250人の生徒も、息ぴったりのオリジナルダンスで盛り上げた。