LINEでもXでもInstagramでもない…東大生が「受験生は絶対入れるな」という"バカになるアプリ"の名前
■スマホは受験勉強と相性が良くない 逆に、東大生が積極的にインストールしているアプリは何でしょうか。 実名で挙がったのは「英語アプリmikan」や「モノグサ」「Quizlet」といった暗記アプリのみで、それ以外の回答はありませんでした。暗記アプリ以外に活用方法がないというよりも、少なくとも今回話を聞いた東大生たちは学習にほとんどスマートフォンを導入しておらず、暗記アプリ以外の存在を知らないようでした。その証拠に、「受験生は勉強中にスマホを活用すべきですか?」と尋ねると、彼らはそろって「積極的には使うべきではない」と答えました。 「時間を決めて暗記アプリを利用するなどルールを決めるべき」「リスニングの音声データ再生用のみで運用すべき」などスマホの用法を限定しての活用を認める人もいましたが、大半は「積極的には使わないほうが良い」と答えていました。 その理由として、「科学的な研究データとして、電子スクリーンによる読解よりも紙媒体の読解の理解度が高いことが示されているため、できれば紙媒体にこだわったほうが良い」「本番は結局紙とペンだけで勝負をするため、本番に近い環境で練習をするのであれば、受験本番に近づくほどデジタルデバイスの活用頻度は減らすべき」といった意見がありました。 ただ、完全に否定一辺倒ではなく、「スマホを含めた電子機器のない世界は今後考え難く、どうしても生活に入り込んでくるので、それらとうまく付き合うトレーニングとして受験期のスマホを運用するとよい」という意見もありました。
■勉強のプロでも「スマホ断ち」は難しい 今回話を聞いた東大生から聞こえてきたのは、「スマホの取り扱いに苦労した」とする声ばかりでした。「『スマホばかり見ていても仕方ない』とわかっているのに、コミュニケーションのためとSNSをチェックしてしまう」「ネットサーフィンが楽しすぎて、いろいろなページを渡り歩いて何時間も使ってしまった」など、勉強のプロである東大生ですら、「勉強の邪魔になる」とわかっているのに、自らの意志でスマホの利用を制限することが難しかったことがわかります。 だからこそ、彼らはアプリを削除したり、スマホ自体の利用時間を制限したりして、「そもそもアクセスが不可能」な状況に身を置きました。意識的に自らを縛り切れないのであれば、誘惑の根源自体を消去する必要があることを彼らは知っているのです。 紙媒体の勉強で事足りるのであれば、そのほうが心を乱される確率は低下するでしょう。これは筆者の実体験に基づく私見ですが、紙の参考書による学習でも、偏差値60~70程度まで押し上げるには十分効果的です。であれば、わざわざ遊びを誘発しかねないスマホを無理に活用するのではなく、いっそ封印することも有効であるといえるでしょう。 もしどうしてもスマホで勉強したいのであれば、「電車内では暗記アプリを活用する」などスマホを使用する時間帯、場所、目的を決めるとか、勉強アプリを配置したページにはSNSやゲームなど集中を妨げるアプリを置かないといった厳重なルール策定が必要になりそうです。 ■「スマホで勉強」は危険と隣り合わせ 「スタディサプリ」など、高品質で低価格な映像授業媒体が出現したり、「モノグサ」「英語アプリmikan」など使いやすい暗記アプリが出現したりと、デジタルデバイスを活用した学習環境は確実に整えられてきました。一方で、スマホやパソコンには勉強とは関係ないアプリを導入可能であり、常にそれらに誘惑される危険と隣り合わせとなります。 今回話を聞いた東大生たちは、受験生時代に「スマホの学習ツール化」の過渡期を過ごしました。小中学校時代は紙とペンで勉強していた世代ですから、今後10年で意見は大きく変わる可能性もあります。とはいえ、学習手段に貪欲な東大生30人のうち、一人も「受験では積極的にスマホを活用すべき」という意見がなかったことに、答えは出ているのかもしれません。 ---------- 布施川 天馬(ふせがわ・てんま) 現役東大生ライター 世帯年収300万円台の家庭に生まれ、金銭的余裕がない中で東京大学文科三類に合格した経験を書いた『東大式節約勉強法 世帯年収300万円台で東大に合格できた理由』の著者。他にも『人生を切りひらく 最高の自宅勉強法』(主婦と生活社)、『東大大全』(幻冬舎)、『東大×マンガ』(内外出版社)、『東大式時間術』(扶桑社)などがある。 ----------
現役東大生ライター 布施川 天馬