【ヤマハ MT-09 試乗】□アウトロー□がスポーツバイクの王道に則った進化を遂げた…伊丹孝裕
MTシリーズの中核とも言える『MT-09』が、2024年3月にモデルチェンジを受けた。その後、『MT-09 SP』(2024年7月)、『MT-09 Y-AMT』(2024年9月)とラインアップを拡大してきたわけだが、今回あらためてスタンダードモデルに試乗。そのフィーリングを体感してみた。
MT-09を大きく分けると、2014年に第1世代となるモデルが送り出された。そして、2017年に第2世代、2021年に第3世代へと進化を続け、今作が第4世代に当たる最新型となる。
888ccの水冷4ストローク直列3気筒エンジン、軽量高剛性なCFアルミダイキャストフレーム、ボックス構造のアルミスイングアーム、鋳造ながら鍛造に近い性質も併せ持つスピンフォージドホイールといった主要なコンポーネントは、基本的に第3世代のものから踏襲されている。その意味ではマイナーチェンジに相当するが、デザインの大幅変更によってイメージを一新。それにともなって、ライディングポジション、車体の剛性バランス、電装や操作系のアップデートも図られ、よりスポーティな乗り味を実現している。
◆スポーツネイキッドとして一体感が高められた
シートにまたがると、まず足つきがよくなっている。825mmの高さ自体は従来モデルと同じながら、座面前端が絞り込まれ、乗降性がいい。スリムな分、足がまっすぐスッと降ろせるため、物理的にも心理的にも安心感がある。
ハンドル位置がやや低くなり、その垂れ角と絞り角も見直されたことに加え、ステップ位置は高く、後方へ引かれた。こうして文字で表現すると、前傾が強まり、バックステップになった印象だが、目的はフロントに荷重を掛けやすくすることであり、それに成功している。
これに関しては、以前サーキットで試乗した時に顕著だった。車体を素早くリーンさせた時のフロントまわりの挙動が、明らかに落ち着いていることを確認。見た目からも分かる通り、だからといって、上体や下半身に窮屈さを強いるようなものではない。また、それぞれ自分好みに調整する余地もあり、ハンドルホルダーの向きを変える、あるいはステップ位置を上下させることによって、各2段階のいずれかを選択することが可能だ。