2時間メイクしないとカウンセリングに行けない…「複雑性PTSD」の筆者が「5人のインナーチャイルド」と向き合って「変わった日常」
休みたいのに休めない
だが、自分を少し甘やかせるようになると新たな苦しみが出てきた。休みたい気持ちと休めない気持ちの狭間で、身動きが取れなくなったのだ。 もともと私は、休むことが苦手。他人に監視されているように思え、自宅でもダラダラできなかった。また、「このまま働き続けたら倒れる」と思うほど、キャパオーバーな仕事量であるのに助けを求めることもできず、休暇を取るという決断も下せなかった。休日はダラダラしていると申し訳ないような気がしてくるため、朝から掃除に取り組んだ。 加えて、炊事の時には他人ファーストな自分に苦しんだ。どれだけ疲れていても、「帰宅したパートナーが料理をしないといけないのは大変だろう」と思い、「今日は作れない」の一言が言えない。パートナーは根が優しく、「無理はしないで」が口癖。「できない時は休めばいい」と言ってくれていたが、「休みたい」を伝えることが怖かった。 そんな日々が普通で疑問すら抱かなかったのに、カウンセリングを通して、自分に優しくできる私が生まれたことで、「休みたいけど休めない」と葛藤するようになってしまったのだ。 ある日、葛藤が限界を迎え、パートナーの前で泣いた。「他人から休んでもいいと言われても休めない」という、客観的に見ると理解不能な私の心が伝わるのか不安だったが、正直に話した。 すると、パートナーは困惑しながらも真剣に向き合い、私が休めやすい方法を一緒に考えてくれた。それが嬉しかったし、私は不器用ながらも自分の意志を伝えられた自分を褒めて会あげたくなった。
無理しないためのマイルール
「休みたいのに休めない」を改善するため、最初は電化製品を導入。負担を減らすことから始めた。料理も「カウンセリングに行く日は休む」をマイルールにし、作らない日をあえて設けることに。そんな生活をしていると、自分が「これ以上頑張れない」と感じる境界線が分かるようになっていき、無理をすることが減っていった。 そしてその後、私は生きづらい日常が変わるきっかけとなる根本的な“気づき”を得た。街を歩く時にも他人がちゃんと“背景”になってくれて人目が気になりにくくなり、自分の意見を求められた時には激しい動悸と息苦しさから「呼吸ができない!」と感じることがなくなった。 次回はどんな気づきが心の芯となったことで、見える世界が変わったのかをお伝えする。複雑性PTSDの方はもちろん、自分を必要以上に卑下することが癖になっている人にも読んでほしい。 もっと読む 第一回:ひとりで暴言をまき散らし、時には虚無に…「複雑性PTSD」と診断された筆者が悩み続けた「自分とのつきあい方」 第二回:「小さな自分を探しなさい」…専門医も誤診する「複雑性PTSD」の筆者がカウンセリングで「気づいたこと」
古川 諭香(ライター)