2時間メイクしないとカウンセリングに行けない…「複雑性PTSD」の筆者が「5人のインナーチャイルド」と向き合って「変わった日常」
---------- 持続的な虐待やDVなどのトラウマ体験を機に発症することがある、「複雑性PTSD」。フラッシュバックや悪夢、感情の調節が困難などの症状に10代の頃から悩まされていた私は30代にしてようやく自身の病名を知り、専門家の力を借りて、知らなかった痛みと向き合うようになった。 私が選んだ治療法は、誰しもの心にいると言われている“子どもの自分”(インナーチャイルド)を癒す、インナーチャイルドワークだ。本稿では、ワークに取り組む中で見つけたインナーチャイルドの特徴や日常がどのように変化していったのか、自身でレポートする。 ---------- 【写真】ゴミ箱の避妊具を漁られ…実母の過干渉で「夫婦生活」を失った34歳男性 第一回:ひとりで暴言をまき散らし、時には虚無に…「複雑性PTSD」と診断された筆者が悩み続けた「自分とのつきあい方」 第二回:「小さな自分を探しなさい」…専門医も誤診する「複雑性PTSD」の筆者がカウンセリングで「気づいたこと」
5人のインナーチャイルド
インナーチャイルドは、“ひとり”というイメージが強いかもしれない。だが、カウンセラーいわく、インナーチャイルドは複数いる場合が多いのだそう。現に私の中には、抱いている感情がバラバラな5人のインナーチャイルドがいた。 (1)小学校低学年から中学年くらいの私…リビングで家族の愚痴を聞いたり、顔色を窺ったりしていることが多い(時折、自室にいる中学生の私が出てくることも)。 (2)憂…激しい怒りを持っている子。ワーク中に出てくると、言葉が乱暴になる。 (3)空…カーテンを閉め切った暗い自室で膝を抱えて座り込んでいた。この子が出てくると、体が重くなる。 (4)保育園児くらいの男の子…あまり話さない。車のおもちゃやフィギュアで遊ぶのが好き。アリの巣に水を流しいれる、男性が女性を襲うフィギュア遊びなど乱暴な遊びをすることもある。 (5)愛…18~17歳くらいの私。とにかく寂しくて、自分の身体を使って男性にすがる。 ワーク中は、どの子が出てくるかで自分の態度や話す言葉が変わる。また、カウンセラーが同じ言葉をかけたとしても、出てくる子によって受け答えが異なる。解離性同一性障害のように別人格にはならないが、それぞれの子のモードになると、普段の自分とは違った思考が浮かんでくるのだ。 正直、初めの頃は誰にも吐露できなかった痛みを話せるカウンセリングという時間が楽しみだった。だが、回が増すごとにつれ、その時間は苦痛なものに…。 インナーチャイルドワークでは、それぞれの子が抱えている感情や経験した苦しい出来事をとことん吐き出し、泣く。向き合いたくない気持ちや思い出したくない記憶を掘り起こす作業がとても苦しい。カウンセリングに向かう途中には、頭の中で「そんなところへ行って何になる。無意味だ」「やめろ! 帰れ!」という声が聞こえたこともあった。