“細谷真大へ飛び蹴りGK”にトルシエ「VARでレッドは厳しすぎるが…」高評価する“U-23日本代表の5人”「とりわけ藤田譲瑠チマだ」
コンタクトがあった点で、レフリーは正しいが
――アジアカップの際にあなたは〈確認の映像では事象は映すがインパクトの大きさは再現されないので、映像を見たレフリーは事象のみで判断し、PKや退場の判定を下さざるを得ない〉と言いました。 「このケースは客観的な判断として、コンタクトがあったかないかで言えばコンタクトはあった。ルールでは、コンタクトがあった以上それは処罰の対象になる。その意味でレフリーは正しい。コンタクトはあったのだから。 では別のロジックで分析したらどうなるか。GKは思い切り跳躍した。持てる力のすべてを使ってヘディングでクリアしようとした。そこには身体の動きがある。日本の選手はそのGKの動きにすっぽりハマり込んで衝突した。だからコンタクトはあったものの、それはGKがヘディングでクリアした後のことだ。足がぶつかったのはヘディングの後で、GKにとってはボールに触れた後のコンタクトだった。 レフリーはスポーツの現実の動きをよく理解していなかったのか、あるいは動きの実態がどういうものか知らなかったのか。彼は選手へのコンタクトを根拠に判定を下したが、私はもの凄く厳しい判定だったと思う」 ――その結果、日本は数的優位に立ちました。 「ただ、さきほども述べたことに戻れば、とても大きなものがかかった試合で、日本にとってもホームのカタールと戦うのは簡単ではなかった。そして前半はカタールが日本を挑発した。アグレッシブにプレーして、日本のミスやファールを誘おうとした。彼らは日本に罠を仕掛け、試合を台無しにしようとした。試合を壊すことで、勝利を得ようとしているように感じた。壊すという意味はわかるか?」
関根と山田楓、藤田、山本の連動は見事だった
――もう少し具体的に説明してください。 「サッカーのベーシックな価値観に基づいた試合ではなかった。仕掛けたのはアグレッシブなフィジカルの戦いであり、日本選手への挑発だった。小さなコンタクトでわざと倒れ、レフリーにファールをアピールした。その意味では何が起こるか分からない、とても緊迫した試合だった。そうなったのも重圧のかかる試合だったからに他ならない。カタールはこの試合、日本を挑発することで勝利を得ようとした。 そんなカタールに日本はよく対応したと思う。挑発にも冷静さを失わず、反撃も的確だった。相手に惑わされることなく、デュエルにもコンタクトにもしっかりと対応ができていたし、最後まで冷静さを保った。 ただ、レッドカードの後は別の展開になった。 カタールは積極的にプレーせず、前線のストライカーを置かない守備的な陣形を敷いた。攻撃の武器はセットプレーだけだったが、セットプレーから追加点を奪うことができた。 だが失点しても日本はパニックに陥ることなく、ゲームを完全にコントロールしていた。カタールはほかのやり方では得点できなかったし、忍耐強くプレーして、システムを保ち続けた。自分たちのプレー哲学を良く守り、パスを繋ぐサッカーを継続し続けた。とりわけ右サイドのコンビネーションは素晴らしく、関根大輝と山田楓喜、藤田譲瑠チマ、山本理仁らの連動は見事という他はなかった。ちょっと残念だったのが藤尾翔太だ。3得点を決めていてもおかしくはなかったが、彼もまだ若い。 今夜の日本は、サッカーに必要な要素をすべて揃えていた。もちろん勝利に値したが、90分で決着をつけることができなかったのは、効率性を欠いて得点を決められなかったからだ。ただそれでもパニックに陥らず、冷静さを保ち続けた。忍耐強く自分たちのプレーを続けた。延長までもつれ込んだが、日本には何の不安もなかった。そして最終的に、望むべき結果を着実に手に入れた。成熟した姿と、経験値の高さを見せながら」
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