AI翻訳のDeepL、ビデオ会議の音声も字幕でリアルタイムにサポート
ドイツのスタートアップ、DeepL(ディープエル)が目指しているのは言語という壁がない世界だ。人工知能(AI)を活用した翻訳サービスを展開する同社の顧客リストにはそうそうたる企業が並ぶ。これまで極めて高い精度のテキスト翻訳に注力してきた同社だが、このほど音声翻訳にも守備範囲を広げた。 DeepLの新機能の仕組みはいたってシンプルで、ビデオ会議の際、各出席者がそれぞれの母国語でやり取りできるというものだ。誰かが発言する度に、DeepLがその内容を各出席者が選んだ言語に翻訳して字幕で表示する。翻訳はリアルタイムで行われるため、出席者全員が自身の言語でやり取りできる。 DeepLの創業者で最高経営責任者(CEO)のヤロスワフ・クテロフスキーは「テキスト翻訳の分野で当社は先頭に立っているが、リアルタイムの音声翻訳はまったく別物だ」と話す。 「音声をすぐさま翻訳する場合、不完全な文言や発音の問題、遅延などに対処しなければならず、正確でない翻訳や使い勝手の悪さにつながる可能性がある。こうした問題は翻訳を介さない普通の会話でも往々にして起こるものであり、誤解につながることもあり得る。そのため当社は初めからこうした問題を考慮に入れて企業が言語の壁を乗り越えられるソリューションを構築した」 2017年創業のDeepLは、真っ先にテキスト翻訳にAIを活用した企業の1社だ。現在同様のサービスを提供する企業は数多くあるが、DeepLは定期的にフィードバックを取り込んで翻訳を最適化するよう構築したAIモデルで優位性を保っていると考えている。クテロフスキーによると、このAIモデルにより複雑な専門用語や微妙なニュアンスに対応でき、より正確な翻訳を提供できるという。 同社は現在33の言語に対応している。「当社は特に技術用語や法律用語を得意とする」とクテロフスキーは言う。「非常に特殊な意味を持つ珍しい専門用語を扱うことが多い」とも語る。