【映像】“松井5敬遠”28年後の馬淵×林対談 「あとはお前ら」神宮はミーティングなし 馬淵采配の神髄に迫る林監督（第7回）
1992年夏の甲子園で明徳義塾が星稜の4番・松井秀喜に取った5打席連続敬遠策。高校野球史に刻まれた戦略などについて、明徳義塾（高知）の馬淵史郎監督（64）と星稜（石川）の当時2年生遊撃手として出場した林和成監督（44）が語る、ウェブ会議システム「Zoom（ズーム）」での高校野球監督対談。第7回は、林監督が馬淵采配の極意に迫った。【構成／毎日新聞社 安田光高】 【写真特集】「松井5敬遠」明徳vs星稜の打撃記録を振り返る
馬淵監督「監督の仕事は1週間前で終わり」
林監督 采配で（馬淵監督の）右に出る者は今の高校野球界ではいない。昨秋の神宮大会の試合を振り返ってみましたが、試合前にどういう魔法の言葉をかけて選手たちを送り出していますか。 馬淵監督 あの試合は、星稜の方がチーム力は上だと思った。内山（壮真）君中心の打線には左打者もいて、勝つなら僅少差しかないかなと。 林監督 絶対、そんなことないです。 馬淵監督 4点を取った四回に、暴投と捕逸で2点をもらって4―1になった時、「ああこれは勝機があるかな」と思った。 送りバントなど小技を使った堅実な攻撃が明徳義塾の持ち味だ。ただ流れが来ていると感じた馬淵監督は、まさに機を見るに敏。五回無死一、三塁の采配が象徴していた。 馬淵監督 普通なら2番の合田（涼真）でスクイズを出してもいい場面。それを出さずに、三振後に鈴木（大照）が3ランを打った。（スクイズ失敗で走者を失うのを避け、後続の打者に託した）あの辺りの勘がさえていた。もう1回、試合をしたら勝てないですよ。 林監督 そんなことないですよ。
星稜戦に臨むにあたり、準備に抜かりはなかった。 馬淵監督 ビデオは何回も見た。投手の癖までは分からなかったが、配球の癖は調べた。やるだけのことはやったから、これで思い切って試していこうと臨んだ。それが、たまたまうまくいっただけ。厳しいところに投げられていたら、打てていないと思いますよ。 試合に入る上で、選手たちにはどんな言葉をかけたのか。
