パレスホテル社長に聞いてきた、世界の格付けで最高位を獲得した背景から、施設の拡大方針まで
価値向上と事業拡大の関係
パレスホテル社は2020年7月、宿泊主体型ホテルの新ブランドを立ち上げ、「ゼンティス大阪」を開業した。「パレスホテルによるラグジュアリーホテルのリミテッドサービス」(吉原氏)として、国内主要都市に展開していきたい考えだ。「これからの10年、20年は、『パレスホテル』と『ゼンティス』を両軸に展開する。グローバルホテルの進出が続く中、日本のホテル運営会社として事業展開をしたい」と意欲を示す。 現在、同社グループにはパレスホテル東京とゼンティス大阪、「パレスホテル大宮」がある。2028年には台湾に運営会社として「アンバサダーパレスホテル台北」をオープンする。吉原氏は「一つのベンチマークとして目標を設定しないと、そこに向かって走れない。まずはホテル数を、2030年までに既存施設・計画を含めて10軒程度に広げたい」と意気込む。 事業拡大をしていくためにも、運営ホテルのクオリティは重要だ。競合となるグローバルブランドは、どの場所にあっても顧客の期待に応えられる同水準のクオリティを維持する安定感が強み。また「数では日本国内の独立系ホテルは敵わない」(吉原氏)。だからこそ吉原氏は、グローバルホテルができない部分まで細部にこだわり、立地から厳選していく方針だ。 「数を追うよりも質にこだわり、いいホテルをお客様が価値を感じる場所に作っていきたい。その土地の雰囲気から出るサービスがある。それこそ差別化であり、付加価値だ。そういうホテルを求めるお客様にしっかり刺さるものを作っていきたい」(吉原氏)。 そのためにも、パレスホテル東京については「フラッグシップが輝いていなければ、運営を任せようというオーナーからの声掛けは来ない」と今後も磨き上げに余念がない。 そして、ホテルを輝かせるのはやはり人だ。この点でも、事業拡大をする意味を強調する。「1施設だけではポジションが限られ、若いスタッフがキャリアアップできない。施設を増やし、若いスタッフが次のステップやキャリアを描けるような場所を用意していくのが私の使命。人材獲得競争が激化している中、やりがいと待遇の両輪を極めて取り組みたい」と考えている。
トラベルボイス編集部