フォルクスワーゲン ID.7の走り味は、ID.シリーズで最も上質なものだった【海外試乗】
いかにもフォルクスワーゲンらしいBEVに初めて出会った
いよいよスタート! といつものようにスタートボタンを探すが、見当たらない。実はID.7は運転席に座ってシートベルトをロックするとすでにスタンバイとなり、あとはコラムから伸びたドライブセレクターの先端を前方に回してDポジションにするだけだ。 走り出してすぐに気がついたのは全長5mに近いサイズにもかかわらず小回りがよく利くということだ。スペック上の最小回転直径は10.9mと、ほぼ同じサイズのBMW i5が12.3m、メルセデス・ベンツ EQEが12.5mであることを考えると驚くべき性能である。 これはID.7がRWDであることから、舵角をとるスペースを多く確保することができるためだ。また路面情報を正しくフィードバックするステアフィールによってワインディングロードではまるでミドルクラスのスポーツセダンのように軽快なハンドリングを見せた。一方、高速道路では長いホイールベースのおかげで快適かつ上質な乗り心地を提供してくれた。 ID.7の価格はドイツでは5万6995ユーロ(約935万円)と決して安くはない。だだし、完成度が高いうえ長く付き合えそうな、まさにBEVのパサートのような、いかにもフォルクスワーゲンの品質と使いやすさを持った初めてのBEVであると感じた。 将来的には86kWhの大容量バッテリーを搭載するグレード「プロS」や同社のBEV初となるワゴンバージョン「ツアラー」も登場する予定でこちらも楽しみである。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス) ■フォルクスワーゲン ID.7 プロ 主要諸元 ●全長×全幅×全高:4961×1862×1520mm ●ホイールベース:2971mm ●車両重量:2172kg ●種類:交流同期電動機 ●最高出力:210kW(286ps) ●最大トルク:545Nm(55.6kgm) ●駆動用電池種類:リチウムイオン ●総電圧:350V ●総電力量:77kWh ●一充電走行距離(WLTPモード):621km ●交流電力量消費率(WLTPモード):142Wh/km ●最高速度:180km/h ●0→100km/h加速:6.5sec ●駆動方式:RWD ※EU準拠
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