「主筆室でポックリ死んで、秘書に発見される…」読売新聞主筆・渡邉恒雄が生前に明かしていた“理想の死に方”とは《追悼》
大往生アンケート
■理想の最期とは? 達者でポックリ、意識しないうちに死ぬ。なかなか難しいと思うが。 ■心に残っている死に方をした人は? 小林克己君。手紙で本人から死を報告される、というのは生まれて初めての経験だった。(前文参照) ■想定している自分のラストシーンは? 主筆室で突然死。部屋からなかなか出てこないことを心配して入ってきた秘書に発見される。 もしくは病院で、チャイコフスキーかモーツァルトを聴きながら、注射を打ってもらって苦しまずに死にたい。できれば家族は傍にいてほしいね。 ■最後の晩餐で食べたいものは? 好物のソース焼きそば。あと、なるべく小粒のジャガイモを茹でたやつに塩をかけて食べたい。 戦争中、歩哨をやっている時に農家の庇を借りて、その下で銃を持ってしゃがんでいるわけだ。すると、農家のおばちゃんがジャガイモを茹でたやつに塩をかけて出してくれる。これが本当に美味かった。 未だに僕は家でも食べるし、日本料理屋に行ってもジャガイモを頼むんだ。 ■最後の瞬間、何を思い浮かべる? 楽しかった女房との新婚時代、子供と孫、家族のことは思い出すだろうな。そしてお世話になった務台光雄さんと大野伴睦さんのこと。あとは、戦争だな。あんなバカなことやっちゃいけないな、と考えながら死んでいくだろうな。 ■もし生まれ変われるとしたら? それはもう、当然新聞記者ですよ。 もう一度駆け出しから、現場の記者をやりたいね。 佐藤愛子(作家)・渡邉恒雄(読売新聞主筆)・中村仁一(医師)・外山滋比古(英文学者)・酒井雄哉(天台宗大阿闍梨)・やなせたかし(漫画家)・小野田寛郎(小野田自然塾理事長)・内海桂子(芸人・漫才師)・金子兜太(俳人)・橋田寿賀子(脚本家)・出口治明(大学学長)・高田明(ジャパネットたかた創業者)・大林宣彦(映画監督)・柳田邦男(ノンフィクション作家)生を達観した14人へのインタビューは『 私の大往生 』(文春新書)に収録されています。
「週刊文春」編集部/文春新書