中日のドラフトが「球団史上屈指」だと言える理由 未来への転換点となるかも?
10月24日に行われたドラフトで、中日は支配下6人、育成2人の計8人を指名した。その内容を受けて、ファンや有識者からは「史上最高の指名」「1万点あげたい」などと絶賛の声が相次いだ。 【画像】押さえておきたい「2024ドラフトの目玉」たちを厳選! 注目選手のプレー写真&寸評を一挙紹介 筆者も最高かどうかはさておき、今の時点では「球団史上屈指」の指名だと考えている。なぜなのか、簡単に綴ってみたい。 ■金丸と吉田は「令和の和田&杉内」 まずは、何といっても金丸夢斗(関西大)を4球団競合の末に引き当てたことに尽きる。ここが決まっていなかったら、「神ドラフト」は展開されていなかった。 今永昇太(カブス)や、果ては江夏豊(元阪神ほか)と比べられるようなサウスポー。大学時代はリーグ戦通算20勝3敗、防御率0.83、239回2/3を投げて312奪三振という無双ぶり。最速154キロの直球を軸に、スライダーなどの変化球もクオリティが高い。体調さえ万全なら1年目からローテ入り、今季の武内夏暉(西武)のような活躍が見込まれる。 そして、全体14番目にあたる2位が大きなポイントだった。金丸を当てたからこそ、相場感や補強ポイントに適した選手を取れるかが肝要だ。今回は社会人左腕の吉田聖弥(西濃運輸)を指名。外れ1位候補に挙げられており、かつ手薄なサウスポーを獲得できた。年齢も金丸と同学年と比較的若く、高評価につながっている。 金丸と吉田は「令和の和田毅&杉内俊哉」になり得るコンビ。大袈裟な表現かもしれないが、今の時点ではそれぐらいのポテンシャルを持っている。 ■正捕手候補・石伊を4位で獲れたのは大きい 中位以降も補強ポイントを着実に埋めていった。 3位の森駿太(桐光学園高)は左の大型スラッガー。飛ばす力に関しては世代屈指のものがある。高校では遊撃を守る機会もみられたが、プロでは三塁や外野で大成しそう。5年後に佐藤輝明(阪神)のようになっていれば最高だ。 4位の石伊雄太(日本生命)は上位候補と報じられていた、社会人ナンバーワン捕手。彼をこの順位で獲れるのは非常に大きい。木下拓哉を3位で獲った時のようなインパクトがある。強肩とスローイングの正確さはプロでも上位レベル。守りの面から1軍を狙っていけそうで、数年後の正捕手になっていてもおかしくない。 ■下位~育成の高校生も逸材揃う 5位の高橋幸佑(北照高)と6位の有馬恵叶(聖カタリナ高)は、ともに将来を嘱望される高校生投手。高橋が左腕、有馬は右腕とバランスも取れている。石伊と同様に上位候補だった高橋を5位で取れたのは大きいし、有馬は190cmの長身で伸びしろたっぷり。楽しみな逸材だ。 育成ドラフトでは中村奈一輝(宮崎商)と井上剣也(鹿児島実)を指名した。 中村は今夏の甲子園で名を上げた遊撃手で、投手としても最速146キロを誇るアスリート。世界的スポーツメーカー「ナイキ」を由来とした名前も話題を呼びそうだ。井上は150キロ超の速球が武器の右腕で、新監督と同じ「鹿児島の井上」がドラゴンズにやってくる。 ■選手たちが「史上屈指」を「史上最高」に このように「球団史上屈指のドラフト」と言える理由は「4球団競合ドラ1を獲得」「補強ポイントに即した指名」「上位指名候補を中位以降で複数獲得」の3点が挙げられる。チームは3年連続最下位に沈んでいるが、今回のドラフトが明るい未来への転換点となるかもしれない。「史上屈指」を「史上最高」に塗り替えるのは、他ならぬ指名された選手たち。まずは全選手との契約を無事に済ませ、健康体で年明けの合同自主トレ~春季キャンプに臨んでもらいたい。 [文:尾張はじめ]