ソフトB“熱男”松田宣浩が異色キャンプ決意「打撃練習の柵超え本数を数える必要ない」
プロ野球の12球団キャンプがいよいよスタートする。「自分でも怖いくらいにやる気に満ち溢れている」との特別な決意でキャンプインするのが、日本一となったソフトバンクの“熱男”松田宣浩(35)だ。昨年は、スタメン落ちの屈辱を味わったサードマンは、プロ14年目に例年とは違う異色の取り組みを宮崎キャンプで行うという。
打撃練習での柵超えを封印
真っ黒に日焼けしている。白い歯。元気だ。 年明けは福岡の大嶽神社で恒例の108段階段上りダッシュの5往復からスタート。常夏のグアムでの一次自主トレ、母校、亜細亜大の合宿所で寝泊まりしての二次自主トレと順調に消化してキャンプインに備えた。 テーマに掲げたのは「進化」。 「去年は若返り。今年は進化。キャリアハイを本気で狙うので、そのためには、すべてにおいて進化しなければならない」 グアムでの自主トレには、2017年のドラフト1位の吉住晴斗投手(18)と育成登録ながら、その俊足が注目を集めている周東佑京内野手(22)の若手2人を連れていった。 「マンネリも脱却したかったし、チームで一番短距離の速い選手と長距離の速い選手を選んだ。自分の体力をさらに引き上げる手助けをしてもらおうと。2人とも有望な若手。もちろん僕も彼らの道標になりたい」 自分への甘えを断ち切るための手段であり、若手育成の使命も兼ねた。グアムでは初めてプールトレも取り入れた。 「いろんな方面から人間を進化させたい」と、地元福岡のトッププロ、2018年の獲得賞金ランキング9位の時松隆光(25)とゴルフも回ってみた。契約する「アンダーアーマー」のイベントでは阪神の糸井嘉男(37)、オリックスの吉田正尚(25)らとも交流した。母校の亜細亜大での自主トレでは、西武の本塁打王、山川穂高(27)、横浜DeNAの2017年首位打者、宮崎敏郎(30)らと共に汗を流し刺激を受けた。 「山川の打球がタイトルを取る前と後で天と地くらいの差があった。まるっきり変わっていた。凄かった。自信をつけるとは、こういうものなんだなと」 フリー打撃で柵越えを連発する山川の打撃に見とれながらも松田は、まるっきり逆のことを考えていた。今キャンプでは、ある新しい取り組みをするという。 「メディアの皆さんは、柵越えが何本だったと数えるのが、キャンプの恒例。松田が何本、柳田が何本と、この年になってもまだそれがある(笑)。でも、今年は、もう柵越えのない打撃練習をやろうと思っている。長距離よりも、右中間、一、二塁間、ライト前と、反対方向に打つ打撃練習を取りいれたい。柵越えを楽しみにキャンプに来ていただくファンの皆さんには申し訳ないが、見ていてつまんないキャンプになる。メディアの皆さんも僕の打撃練習で柵超えを数える必要はありません」 柵越えの封印――。 キャンプでは、新人、新外国人など新戦力の柵越え本数をカウントするのが、スポーツ新聞の若手記者の仕事になっている。パワーを示すには、柵越え本数は確かにわかりやすい指標で、スポーツ紙に「柵越え何本」の見出しが躍るのは、ここ何十年変わっていない。SNSやジャーナリズムの世界では、「柵越え本数に意味がないこと」がしばしば議論されているが、当の選手側からも、そのカウントに疑問を抱くことがある。