ソフトB“熱男”松田宣浩が異色キャンプ決意「打撃練習の柵超え本数を数える必要ない」
スタメン落ちの屈辱に突き動かされる
「正直、本数を数えているんだなと思うと意識して遠くへ飛ばそうとするし、お客さんも、そこに注目する。センターから左への引っ張りのバッティングになってしまう。確かに遠くへ飛ばすことは大事で、それはシーズン中にもやっていることだが、フルスイングはロングティーでもできるし、打たせてくれるボールをフルスイングすると、どうしてもバットの軌道がアウトサイドインになってしまう。元来、僕はセンターから左へひっかけて打つタイプだが、この2月は、じっくりとセンターから右へ打って打てるゾーンを広げたい。意識的にやって、それを身体の神経に覚えさせたい。ここから、もう一丁上へ行くための苦しい練習だと思う」 当然、習得する技術も変わる。 「センターから右へ打つためにはバットの使い方もインサイドアウトになる」 内から外へバットを押し出すような感覚か。 自主トレでは2年連続で3割をマークした横浜DeNAの宮崎からヒントをもらった。 「彼もそういう意識で打席に立っていると言う。崩されると反対方向だと。でも山川は逆。崩されたときこそフルスイング。この年になってもまだまだ追求する技術がある。刺激になった」 松田を、突き動かしたのは、昨年の屈辱だ。 6月1日の交流戦の横浜DeNA戦で4年ぶりにスタメンを外された。4、5月が得意だった男が、打率1割台をウロウロ。本塁打は10本だったが、11打席ノーヒットで打率.200となったところで工藤監督から「一度、ベンチから野球を見てみなさい。でも守備では使います。試合には出しますから」とスタメン落ちを告げられた。 全試合出場記録には配慮してもらえたが、悔しかった。 ルーキーイヤーは開幕スタメンで使われたが、40日ほどで不調で2軍落ち。ファームで結果を出しても1軍に呼ばれることなく、2年目も2軍スタートとなったが、6月に這い上がると、それ以来、ずっとレギュラーを守ってきた。 「怪我もなく身体は元気なのに結果が出ずに外される。ルーキー時代に打てなくて2軍に落とされて以来の感覚。悔しくて、自分にむかついた。でもね。ここで悔しさがなければ野球選手を辞めなくてはなりません」