NZ首都で大規模デモ、先住民マオリの権利めぐり法案に抗議
(CNN) ニュージーランドの首都ウェリントンで19日、先住民マオリの権利にかかわる法案に抗議して、数万人が国会議事堂前をデモ行進した。同法案に対しては、建国理念の根幹が揺らぎ、先住民マオリの権利が損なわれるとの批判が噴出している。 【写真】抗議デモの行進 9日前に北部で始まったマオリ伝統の平和的な行進「ヒコイ」は、北島を横断して首都に到達。国会議事堂前で議員らに対し、法案を退けるよう訴えた。 問題の「条約原則法案」は、ニュージーランドを植民地化した英国と、マオリの500部族との間で184年前に締結された「ワイタンギ条約」の解釈見直しを目指している。 ほとんどの政党が反対していることから成立はしない見通しだが、法案が提出されたことで、右寄りの政府の下での先住民の権利をめぐる論議が再燃した。 抗議運動には大勢の市民が参加。旗や横断幕を掲げ、伝統装束姿のマオリとともにウェリントン市内をデモ行進した。 警察によると、議事堂前で行われた法案反対のデモ行進には約4万2000人が参加した。 法案が審議される中、議事堂前には抗議のデモ隊が集まった。 議会では先週、マオリの議員が伝統の踊り「ハカ」で抗議して、採決が中断されていた。 1840年に締結されたワイタンギ条約では、先住民と非先住民の共同統治の原則が明文化され、ニュージーランドの建国文書のひとつとして今でも立法や政策の指針となっている。 しかしマオリの言葉と英語で書かれた調印文書には食い違いがあり、定義や解釈をめぐって論議が絶えなかった。 条約原則法案は、連立政権の一角を占める右派のACTニュージーランド党が提出。これに対し、同法案はマオリの権利を損なうものだとして、与野党双方の議員や国民からも批判が噴出していた。