理想のバランスシートを現実化させる:夫婦計画の実践法
■ 中期計画から年度計画へ 未来のバランスシートを作成することで、少なくとも明るい未来を描く事ができ、楽しい気持ちになれるでしょう。 しかし、それだけで終わってしまったら、その未来が達成されることはありません。 ビジョンを実現するには、長期的な目標を年度単位の短期計画に落とし込み、それを実行に移していくプロセスが必要です。 まずは、未来のバランスシートで描いたビジョンを元に、年度ごとの目標を設定します。例えば以下のような流れで計画を立てます。 1. 長期目標の分解 ●例えば10年後の未来を描き、それを実現させていく場合には、その中間地点となる5年後の在り姿をおおまかに設定します。 ●その中間目標を1年単位の目標に細分化します。 2. 具体的な行動プラン ●夫婦それぞれが相手のバランスシートを改善するためにどんな行動を取るのかを具体化させます。 相手のバランスシートはすべて自分の所作によって構成されているので、自分が変われば、必然的に相手のバランスシートが動いていきます。 ●相手のやりたいことや実現したいことをサポートするための行動を考えます。そのためには、相手のやりたいことをしっかり理解する必要がありますが、その過程が夫婦の絆を強化させます。 3. PDCAサイクルの導入 ●計画(Plan):向こう1年、互いに何を行うか決定し、共有します。 ●実行(Do):期中で何度かレビューをし、進捗確認を挟みつつ実行します。 ●振り返り(Check):1年経った時点で計画の実行状況をレビューし、バランスシートをアップデートします。 ●改善(Act):実行状況、理想とする状態とのギャップなどを踏まえ、次年度のアクションを設定します。 このプロセスを繰り返し行うことで、計画を柔軟に調整しながら目標を達成していきます。
■ 年度計画の具体例 例えば、夫婦間で以下のような年度目標を設定したとします。 相手のバランスシートを改善するための行動 ●自分が家事(具体的に)を今よりも週に1日多く担当する。 ●パートナーのキャリアアップを支援するため、資格取得の学習時間を確保できるよう協力する。 相手のやりたいことをサポートする行動 ●相手の趣味に必要な時間を確保するため、子供の送り迎えを週1回代わる。 ●旅行の計画を立てて、パートナーがリフレッシュできる機会を提供する。 これらを年度単位で計画に組み込み、定期的に進捗を確認するレビュー会議を設けます。 ■ 定期的なレビューの重要性 計画を立てても、夫婦間でのコミュニケーション不足や関係の近さゆえの問題で、レビューが後回しになりがちです。 例えば、仕事が忙しい時期に夫婦の一方が疲れ切っており、話し合いどころではなくなってしまう場合があります。 また、育児や家事に追われる日々の中で、レビューの日を迎えても "今はそれどころじゃない" と感じて先送りしてしまうことも多いでしょう。 さらに、感情的なすれ違いがある場合には、レビューが険悪な雰囲気を招くのではないかと不安になり、無意識に避けてしまうこともあります。 以下のポイントを押さえることで、計画の実行率を高めることができます。 1. レビューの頻度を決める ●毎月1回、もしくは3か月に1度は定期的なレビューを実施します。 ●日程はあらかじめ決めておきます。変更の必要が生じた時は、その時点で速やかに代替日程を設定します。 2. 第三者の立ち会いを検討する ●カウンセラーやファシリテーターなど、第三者に立ち会ってもらうことで安全に話し合える環境を作ります。 ●第三者が介在することで、互いの気分でキャンセルがしにくくなる効果も期待できます。 3. レビュー内容を具体化する ●設定した年度目標に対する進捗状況を確認します。 ●目標に対する課題や改善点を共有し、次のアクションを明確にします。 ●期中で新たに発生した資産や負債を書き留めておき、後にバランスシートに反映させます。