「350km/hの男になる」小椋藍がMotoGP初ライドで見せた潜在能力と、やっぱり気になる真っ赤なアイツとは
350km/hの男たち
テスト前にカタルーニャ・サーキットでのMotoGPの最高速を350km/hと教えたとき、「おお、350km/hの男になるんですね」と笑っていた小椋は、「350km/hの男たちの中で1番印象に残ったライダーはだれ?」という質問に「カラーリングが真っ赤っ赤だったマルケスですね」と答えた。 24年シーズンにホンダからドゥカティのサテライトチーム「グレッシーニ」に移籍して総合3位と復活したマルク・マルケスは、25年シーズンはドゥカティのワークスチームで走るチャンピオン候補の本命だ。常に周囲の度肝を抜いてきた走りに、小椋は「(なんであんな走りができるんだと)腹が立つ」と語っていたが、そのマルケスと同じクラスで戦うことになる。 小椋の可能性はいかほどか? MotoGPクラスは「よりプロフェッショナルの世界」であり、Moto3、Moto2時代から「ハイパワーマシンのパフォーマンスを活かせる走り」と言われてきた小椋の能力は、プロフェッショナルな世界の人たちによってさらにその能力を引き出されるはず。活躍を期待していいと思う。 小椋はこれから取り組むべき2つのテーマを挙げた。コーナーの進入と立ち上がりのフィーリングを掴むこと。特にコーナーの進入のフィーリングを掴むことは、それに続く立ち上がりでの加速につながるので重要になる。Moto2時代より減速するスピード域が大きくなるうえ、ECUの進化でブレーキングがライダーの腕の見せ所となるだけに、そのフィーリングを掴むことはリザルトに直結するファクターとなる。
来季開幕戦への期待感
初テストは「実際に乗ることで次の目標が決まっていく」という段階で、体力的にも攻めて走っていないのでMoto2より楽だったと小椋は振り返る。レギュラーライダーに先立ち、ルーキーたちは来年1月下旬からマレーシア・セパンでテストを始める。その後、レギュラーライダーとともにセパンからタイへとテストは続く。その後の開幕戦タイGPの舞台となるチャン・インターナショナル・サーキットは小椋が得意とするサーキットで、Moto2チャンピオンを決めたサーキットでもあるだけに、デビュー戦には格好の舞台となる。 自ら「オレは華がないからね」と笑うが、ステップバイステップで目標を達成してきた小椋への期待と人気は本人が思う以上に高い。「とにかく経験してみないとわからないし、経験することで何を準備しなくてはいけないかがわかる」と語る小椋が初テストの86ラップで経験したことは、今後のチャレンジに必ず活きるはずだ。
(「モーターサイクル・レース・ダイアリーズ」遠藤智 = 文)
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