『ヤマト』実はかなりブッ飛んでる真田さんという存在「こんなこともあろうかと!」
真田さんが担う「重要すぎる役割」
その第18話では、古代進の兄「古代守」の友人であることや、その守の乗艦「ゆきかぜ」の最後の出港時に整備を完全にできなかったのを後悔していたことなどが語られ、さらには過去に事故で両手両足を失っていることが明かされます。 しかも義肢には(なぜか)爆弾が仕込まれており、敵要塞(宇宙要塞13号)の制御コンピュータを破壊するため、ともに要塞へ潜入していた古代進を逃がしたのちに決死の覚悟でこれを起爆、コンピュータの破壊に成功し、そして自身も生還を果たしました。 過去の事故では両手両足と同時に家族も失っており、これをきっかけに、科学に対する猜疑と復讐心のようなものを持ち、科学を志したことも語られています。 そのような「科学」や「技術」というものに対するバックボーン、言ってしまえば執念があるからこそ、彼の発言には「真田さんがそのように言うなら納得するしかない」という説得力があるのでしょう。そしてそれは物語における「ものごとの真偽」を担保するもので、少し考えると怪しかったりツッコミどころがあったりする場合でも円滑に物語を進行させられる(進行させるという役割を担える)といえるのではないでしょうか。 なお実のところ、真田さんは「こんなこともあろうかと」というセリフを、TVアニメのなかでは一度も使ったことがありません。『宇宙戦艦ヤマト2』第10話の後半に「こんなこともあろうと思って」という、かなり近いセリフがあるだけです。 「こんなこともあろうかと」というセリフ自体は、アニメ・特撮評論家の氷川竜介氏によると、氏が同人誌「怪獣倶楽部」内で「ヨタ話として」記した「ロボットアニメの博士が秘密兵器などを使う際の(お約束のような)セリフ」だそうで、それがいつのまにか真田さんのセリフとしてすり替わっていたようです。歴史の長い作品には、いろいろあるものですね。
早川清一朗