女子代表親善試合、ブラジルから見たなでしこジャパン戦の意義
文 藤原清美 11月30日と12月3日、ブラジル女子代表がなでしこジャパンを迎え、ブラジル・サンパウロで親善試合2戦を戦った。 2011年ワールドカップ優勝をはじめ、国際舞台で結果を出している日本は、ブラジルでも非常に尊重されている。2021年に就任した池田太監督の下、今年7~8月に行われたFIFA女子ワールドカップでも、結果こそ準々決勝敗退だったが、ブラジル代表アルトゥール・エリアス監督は「大会最高のサッカーをするチームだった」と今回の試合前に称えていた。 ブラジルはその女子W杯で無念のグループステージ敗退に終わったことを受け、ピア・スンドハーゲ監督が解任となり、9月にアルトゥールが新監督に就任したばかりだ。彼は2016年から女子サッカークラブの監督を歴任し、コリンチャンスではブラジル全国選手権で5度、南米最高峰を競うコパ・リベルタードレスで3度のタイトルに導いている。 すでに昨年のコパ・アメリカ優勝によって、2024年五輪出場枠を獲得しているブラジルは、パリでの本大会に向けて、新体制の下で早急にチームを構築していく必要に迫られている。ここまで、まだアウェーでカナダ代表と2つの親善試合(1戦目は1-0の勝利、2戦目は0-2の敗戦)を戦ったのみ。そのため、アルトゥールは今回も日本という強い相手との対戦を、絶好のテストと経験の場と捉えていた。 1戦目(inネオ・キミカ・アレーナ)は日本に先制されたものの、ブラジルが3点を連取して3-1に差を広げた。しかし、2点を返されて3-3。最終的に、アディショナルタイムに1点を追加したブラジルが4-3で勝利する、白熱した試合となった。 2得点を決めたFWビア・ザネラット(パルメイラス)は、ビューティフルゴールとなった2点目について「日本のボールの出どころで、私たちがプレッシャーをかけて、ボールを奪うことができた。その後、個人的にはフィジカル面も生かしてボールの競り合いに勝ち、ゴールで締めくくることができた。組織と個の連携がうまくいった」と振り返った。 ただし、3失点したことで、DFブルニーニャ(NJ/NY ゴッサムFC)は、「細かいところを修正していかなくては」と反省も口にしていた。