【Love me tender】威風堂々 ラグジュリアスでエレガントなフルサイズSUV「キャデラック エスカレード スポーツ25thアニバーサリーエディション」との夢の5日間
エスカレード スポーツ25thアニバーサリーエディションの特徴はエンブレムを含めてブラック塗装となること。キャデラック クレストもモノトーンのものが装着される。全長5,400mmと十分に大きいが、本国にはさらに長いロングホイールベース版もある。
実際に走り出してしまえば、アメリカ車の魅力を凝縮したような、安楽で平和な空間は、一切の屋外の環境とは関係なく粛々と移動する。6,156ccで、416馬力と624Nmをエンジンは発生しているはずだし、それを10速(!)ATが巧みに変速しながら走っているはずだが、そんな数値などどうでも良くなってくる。
走行中にはV8エンジンは8気筒、6気筒、4気筒、2気筒(!)と、状況を判断に応じて、ものすごい速さでコンピューターが演算しつつ、気筒休止しながら動いているし、それを4輪駆動と2輪駆動を自動的に切り替え、さらにマグネティックライドコントロールとエアライドアダプティブサスペンションが巧みに制御を繰り返しながら働き続けているはずなのだが、ドライバーがなんとかその違いを感じ取ろうと努力しても、結局最後まで変化や作動状況を感じ取ることは一切できなかった。
ドイツ車や日本車ならば、喜んでそういったデバイスの作動状況をメーターパネル等に表示させるはずだが、かなり時間をかけて探してもそういったインジケーターを表示させるモードは見つからず、おそらくそういう表示機能はないのだろう、と思う。だがそれは不親切という意味ではなく、ドライバーに過剰情報を与える必要などない、という設計者の判断によるものであることは言うまでもなく、キャデラック開発者の選んだその哲学は正しいと思う。実際、クルマにまかせておけば、なんの不満も不都合もないのだし、それがどう作動しているのか分からないほどに機能していることこそ、熟成した機構といえるのだから・・・。
なお6.2リッターV8エンジンを搭載した2.8トンもの自動車と聞くと、燃費を心配してしまうが、今回は400kmほどの走行距離を、途中大柄な成人男性を6人乗せて長距離移動し、雑踏の街中も這いずり回ることもあったが、総平均で約7km/lの成績であった。物理的な大きさや快適さを考慮すればこれは、決して悪くないと個人的に感じた。たまに275/50R22という大径サイズのタイヤがその重さを伝えることはあっても、あとは徹頭徹尾快適な巨大な空間が保たれることを考えれば、優秀でさえあるといえる数値ではないだろうか。