【政治解説】「悲惨なことになっている」党内から公然と“岸田交代”の声 “ポスト岸田”石破氏の“壁”とは 2024年6月 最新世論調査解説
NNNと読売新聞が今月21日から23日まで行った世論調査で、岸田内閣の支持率は23%と、政権発足以来最低を再び更新しました。この事態に、菅前首相をはじめ自民党議員らは、公然と“岸田交代”の声をあげ始めました。一方、自民党のベテラン議員によると、“ポスト岸田”の有力候補として名前の挙がる石破元幹事長には、“壁”が存在するといいます。日本テレビ政治部デスクの竹内真と解説委員の菅原薫の同期コンビが解説します。
岸田内閣支持率 “また” 最低を更新
【竹内】 岸田内閣の支持率が、また、発足以来最低を更新しました。これまでの最低は24%でしたが、今回は23%。1ポイントですので、調査の規模からいうと誤差という見方もできますが、最低は最低です。 【菅原】 まだ下がることは「あるかな」と思っていましたが…。永田町の受け止めは、どうですか。 【竹内】 自民党の関係者からは、「(イタリア)G7サミット、物価高対策発表後の数字としては厳しい結果だ」という感想がありました。また、自民党の閣僚経験者の一人は、「総理は4万円の定額減税にかけていたところがあるのに、つらいだろう」という見方を示しています。しかし、自民党議員からさえ、「この減税というのは、国民に見透かされている」、つまり、ご機嫌取りというか、人気取りをしようとしていることが見抜かれている、と指摘する声もあります。
【竹内】 実際、今回の調査でも、この年4万円の定額減税について聞いてみましたら、評価しないが59%でしたから、あまり評判がよかったとは言い難いです。 【菅原】 厳しい状況が続くなか、ついに自民党内から動きが出てきましたね。
大物議員も・・・ 党内からは公然と“岸田交代”を求める声
【竹内】 北海道の自民党の会合で、若手議員が「岸田総理・総裁は、ゆめゆめ再選などと口にしないでほしい」と、岸田首相の再選に公然と反対を表明しました。 【菅原】 こういう声が出てくると、いよいよ政局という感じが出てきますね。
【竹内】 本当ですね。さらに、若手だけではなく、大物議員の菅前首相も「総理が責任をとっておらず、不信感を持つ国民は多い。総裁選で国民に刷新感を持ってもらえるかが大きな節目になる」と話し、さらに司会者から「新しいリーダーが出てくるべきか」と聞かれ、はっきりと「そう思います」と。“総理は交代した方がよい ”という考えを示しました。 【菅原】 若手議員が言うのと、菅前首相のように一定の影響力のある人が発言するのとでは、意味合いも変わってきますよね。 【竹内】 全くその通りです。ある有力な閣僚経験者は、「菅さんの発言は注目されている。空気が変わった。自民党内部から公然と総理を批判する声が出始めた」と感想を述べてました。 【菅原】 岸田さんサイドはどうなんですか。 【竹内】 総理の側近に聞くと、表向きには、「耐えるしかない。ポスト岸田候補と切磋琢磨して自民党の力を見せるチャンスにもなる」と言っています。つまり、「政策論争を通じて自民党の活力をアピールするんだ」と言っているのですが…。一方で、「もう岸田さんは立っていられないだろう」ですとか、「続投は厳しい」という声がとても数多く上がっています。ベテランの閣僚経験者は、もう言葉を選ばず、「悲惨なことになっている。次の選挙ではみんなボロボロと落ちてしまう」と危機感をあらわにしていました。もう少し若い中堅議員は、「岸田さんでは選挙に勝てない。もう代わってもらわないと困る」と言ってます。与党の幹部からも、「9月の総裁選までは岸田さんだ。けれど、その先はふさわしい人が選ばれるのを見守る」と言っていて、もう“岸田首相が交代することが前提”のような話しぶりでした。 【菅原】 ここまでそういう流れができてしまうと、もう止められないですよね。 【竹内】 いや、本当にそうだと思います。いわゆる洪水とか雪崩のように、もうとても押しとどめることは難しいのではないかと。経験上、そう思います。