「“こういうもんだから”で流される世の中はゆゆしき状態」綾小路 翔が選挙に行こうと決めた理由
「言うほど選挙は難しくないよ」綾小路 翔がおせっかいで政治参加を促す理由
――綾小路さんは、地元への思いだけでなく、政治参加についてもTwitterでたびたび発信されています。そもそも政治や選挙に興味を持ったきっかけは何だったのですか? 綾小路 翔: 正直な話、若いときは政治に全く興味なかったですし、そもそも、それを考える脳みそも、知識も、発想もない。選挙がいつやっているのかも知らなかったし、「いったい何の話してんの?」「これに参加したら良いことあんの?」って考えてました。その頃はバンドに夢中で、真夜中はライブ、昼間はアルバイトという食うや食わずの生活でした。ですから、そこに気持ちが向いてなかったっていうのもあります。 ただ、バンドで活動するようになってから、多くの方たちと関わるようになって、「あれ、ちょっと待てよ」って立ち止まることが少しずつ増えてきました。自分たちのいる音楽業界でも、みんなが何となくやっている仕事や慣習、改善されないシステムがいくつもある。このままで良いのかな、という疑問が出てきたんです。レーベルや事務所の人たちと、それについて話してみても、みんなお茶を濁すんですよ。「そういうもんだから」って。 それがレコード会社や音楽業界だけじゃなくて、実は日本全体で起きてるんだなって気づいたんです。政治の世界で、社会全体でこういうふうになってるなら、これはちょっと由々しきことだな、と政治の方に意識が向くようになりました。 でも、自分がバカすぎて右も左も分からない。どうしたもんかなと思って、メンバーで唯一学のある西園寺 瞳くんに聞いてみたら、すごく分かりやすく教えてくれた。それから選挙に行くようになって、選挙って結構楽しいなと思えるようになったんです。
――バンド活動がきっかけで選挙に対しても関心を持つようになったんですね。 綾小路 翔: 学のない僕たちは、自分からは知ろうとしなかったし、学ぼうともしなかった。そのくせ、プライドだけは高くて、あいつは知らないって思われることへの恐怖心がありました。それで余計に考え方が凝り固まって、耳をふさいじゃって生きていたんです。そういう人は多いんじゃないかな。 だからこそ、自分の経験を生かして、かつての自分と同じように考えている人たちに、今からでも大丈夫だし、そのままでいる方がナメられるよ、って伝えたい。きっと頭の良い人にいろいろ言われたら、どんどん頑固になっちゃいますからね。 ――だから政治参加について発信をしようと思われたのですね。 綾小路 翔: 僕は自分が経験したことしか言えない人間なんです。これはダメで、こうしなければいけない、と議論するタイプでもないし。でも、みんなが選挙に参加してほしいということだけは強く言いたい。国民だれもが関心や興味を持って考えて、そこに向き合うことがすごく重要だと。 みんながまずそっちに向いてくれたら、どうしてこんなことが起きてるのかを知るようになるはず。そうやって興味を持ってくれたら、だんだん自分たちの意思を表明していくようになると思うんです。 ――どの候補に投票したらいいか分からない。あるいは、選挙は難しいと考える人も少なくないと思います。 綾小路 翔: 今はインターネットで調べれば何でも分かります。なので、この人は何を言いたいのか、この人はどの世代なのか、この人の経歴はなんだとか、深掘りしていくと、ちょっとした自分の"推し"に出会えるはずです。 あと、選挙に行くときは、帰りに立ち寄るお店を投票所周辺で探すのも結構楽しみなんですよ。「近くに良さげな町中華があるな」とか。しかも、投票したらなんか大人な気分になれて、清々しくて、テンションも上がる。14、5年ぐらい前から、そうやって楽しめるようになってきました。まぁ、若いときには選挙に行ってなかったですから、若い人には偉そうに威張れないですね(笑)。