「週80時間のタダ働き」、米DOGEに志願する大学生や起業家は何を望む?
公務員の「失業」の受け皿は?
■公務員の「失業」の受け皿は? 一方で、DOGEの活動によって、多くの公務員が職を失うことが懸念されている。そのため、DOGEが特定した無駄なリソースを別の分野に再投資すべきだという声もあがっている。 ピッツバーグを拠点とする投資会社、Overlooked Venturesの元パートナーであるブランドン・ブルックスは、失業者の増加に対応するために、政府のスモールビジネス向け小規模融資プログラムであるState Small Business Credit Initiativeの効率性を向上させたいと考えている。このプログラムは、約100億ドル(約1兆5000億円)のスタートアップへの融資を促進することを目的としているが、現在の達成率はその3分の1未満にとどまっている。「より多くの小規模企業やスタートアップを支援し、民間部門を活気づけることが、この問題の解決策になる」とブルックスは述べた。 ニューヨークに拠点を置くタスクホールディングスのCOOを務める元イリノイ州副知事のボブ・グリーンリーは、DOGEを「テック系の人々を市民活動に引き込むための世代を超えたチャンス」だと評した。彼は自身のブログで、DOGEに対し、「AIツールの政府導入」を優先するよう求めているが、「規制緩和を目的とするなら、このメンバー構成は最悪だ。迅速にプロセスを攻略できる弁護士が必要だろう」とも指摘した。 ■次世代の「ペイパル・マフィア」 DOGEに応募した複数の志望者は、この組織が掲げる目標を達成できる可能性が非常に低いことを理解している。彼らは、1980年代のレーガン政権下で行われた政府の無駄を削減するための試みである「グレース委員会」が、ほとんど効果を上げられなかったことを指摘した。それでも、わずかな成功の可能性のためにチャレンジする価値があると彼らは主張している。暗号資産業界から応募したディーンは、「何もしないよりは、変化が起きるチャンスに賭けるほうがいい」と語った。 また、DOGEを目指す若い応募者の中には、「夏のインターンのような感覚」でこのプロジェクトに興味を示す者もいる。1人の大学生は、「もしこれが3カ月間の市民奉仕プログラムなら楽しいかもしれない」と語った。さらに、「テック系の人たちが、必ずしも高い市民意識を持っているわけではない」とも話した。 しかし、DOGEへの参加が自身のキャリアの飛躍につながると考える応募者は多い。そのうちの1人は、デザインソフトウェア企業Figma(フィグマ)のCEOであるディラン・フィールドが先日Xに投稿したコメントは、「非常に良いDOGE支持のプロパガンダである」と評した。フィールドは、「10~20年後には、DOGEで働いた人たちが次のペイパル・マフィアになると賭けてもいい」と投稿していた。 また、別のテック系企業の従業員は、「DOGEに参加する理由は3つある。愛国心、エゴ、そして人脈へのアクセスだ」と語った。
Alex Konrad