プロ3年目の“覚醒” 米参戦と新女王誕生までの軌跡/竹田麗央インタビュー<前編>
■シーズン途中で考え始めた米挑戦
輝かしい国内ツアーでの活躍の一方で、竹田はシーズンの中盤に2025年の米ツアー挑戦を決めた。出場権を争う最終予選会(Qシリーズ)にエントリー。「自分のゴルフに自信が持てるようになった。アメリカでもやってみたい」と5日間90ホールのサバイバルに名乗りを上げた。 今季開幕前は想定していなかったチャレンジ。9月の「日本女子オープン」「ソニー日本女子プロゴルフ選手権」の優勝が心変わりのきっかけになった。日本タイトルを獲得したことで、25年から10年間のうちであれば任意の年に行使可能な5年シードを得た。 「小さいころからアメリカでやりたいとは思っていた。日本人の選手が(米ツアーで)ずっと活躍していて。そういうのを見てきて、自分もいつかは行きたいなっていうのが強くなった」
もともと長期的な目標は立てないタイプで、「計画通りにいく自信もないので、目の前のことにベストを尽くそう」というのが信念。それでも、「10勝ぐらいしてから行きたいって思っていたので、もうちょっと先かなって。22、23歳あたりとか」と漠然と思い描いていた。想定よりも早い21歳での海外挑戦になったが、心構えはできている。 11月の日米ツアー共催「TOTOジャパンクラシック」で優勝し、最終予選会を回避して来季の米ツアー本格参戦を決めた。同大会での戦いには新しい発見もあった。「TOTOジャパンクラシックの前ぐらいからショットの調子がそんなに良くなくて。それでも、優勝できた。すごく自信になったというか、この状態でも優勝できるんだっていうのに気付きました。(翌週の)伊藤園レディスで予選落ちした時は、これじゃだめだ、と思ってやっていましたけど(笑)」。不調時でも優勝できることがある。その経験は今後のキャリアに生きる。
■日本での3年間を糧に新天地へ
主戦場を米ツアーに移して臨む新シーズンは1月30日にスタートする開幕戦「ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(フロリダ州・レイクノナG&CC)で始動する。「すごく楽しみな気持ちが大きい。最後まで自分のベストを尽くして、色んな経験ができたらいいな」と胸は高鳴る。 新しい拠点の構想を含め、急ピッチで渡米準備を進めている最中。国内で帯同してくれた母・哲子さんの同行は決まっており、キャディは「基本は米ツアーのキャディさんにしようと思っていて」と経験豊富な現地の人材を探す考えだ。「一昨年、昨年と色んなキャディさんに担いでもらって、情報が入りすぎると優柔不断で決め切れない時があった。英語はよく分からないから、それが良いのかなって」