石破外交がみせた異様な光景 トランプ氏に会えず〝外された〟 中国・習政権と関係強化すれば日米関係が心配
【日本の解き方】 南米を歴訪した石破茂首相は、中国の習近平国家主席らとの首脳会談は行ったが、ドナルド・トランプ次期米大統領には面会できなかった。今回の南米歴訪でみえた石破外交の方向性はどうか。 【写真】石破首相、座ったまま握手…首脳会議での映像が物議 まず、外交の中身でなく、石破首相の非常識ともいえる振る舞いのニュースが入り、筆者としても驚いている。15日の会議前、石破首相が手元のスマートフォンの画面を見ている姿があった。各国首脳が挨拶で動き回っているなかで、それだけでも異様な光景だ。しかも、開催国ペルーのディナ・ボルアルテ大統領やマレーシアのアンワル・イブラヒム首相、カナダのジャスティン・トルドー首相が石破首相に挨拶に訪れた際、首相はいすに腰掛けたまま握手を交わした。これは官邸ホームページに掲載されている。 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳の歓迎会と思われるリマの大統領官邸での別の映像では、他の首脳が両手を前に手のひらを重ねるなどして式典を見守るなか、石破首相1人が腕を組んでいる様子が映し出されていた。 16日には、アルベルト・フジモリ元大統領の墓参の際、事故渋滞で各国首脳との集合写真に間に合わなかった。当初はフジモリ氏の「墓に向かう際」とされていたが、その後「墓参りをした後」と訂正された。いずれにしても、晴れの舞台のチャンスを逃したのは間違いない。 外交儀礼から言えば、歓迎儀式中の「腕組み」はひどい。国際会議の議論の最中に、相手に負けないぞという意思表示ならあり得るが、海外での「腕組み」は敵対的な意思表示になるからだ。 いすに座ったままでの握手もいただけない。他の国の首相は歩き回って握手しており、たまたま着席している人も立って握手する。握手にはアイコンタクトが重要なので、同じ目線で行うためだ。日本でも同じだが、いすに座ったままでは横着な印象を与えてしまう。 こうした振る舞いは、日本の恥さらしだ。存在感を世界に示す以前の問題である。 しかも、予想通り石破首相はトランプ氏と会えなかった。石破首相によると、トランプ氏側は各国首脳から多数の面会希望があるほか、来年1月までは会談を行えない米国法があると説明している。しかし、これは苦しい。過去に安倍晋三氏と会ったし、今回もアルゼンチンのミレイ大統領とは会っている。要するに、石破氏は外されたとみていいだろう。