会見後に師匠（左）、おかみさん（右）、師匠の長女・星空さん（左から２人目）と一緒に番付表を持つ獅司

　獅司の転機は「最強おかみ」の指導だった。ウクライナ出身初の幕内力士となった獅司（２７）＝雷＝が２８日、福岡市内の宿舎で会見。本来は右四つの獅司だが、おかみさんの栄美さん直伝の左四つが昇進のきっかけだと明かした。 　栄美さんはただものではない。日大相撲部出身で、重量級の日本一に３輝き度、世界選手権でも団体金メダルを獲得。その栄美さんが現役時代に得意としていたのが「左四つ」だった。 　獅司は関取昇進前に左上腕の筋肉を断裂。なかなか十両から抜け出せない獅司を見かねた栄美さんが、「左四つだったら教えられる。やってみなさい」と指導を開始。獅司の器用さも相まって一気に開花した。 　師匠の雷親方（元関脇垣添）は土俵下の審判で見て「教えてないことをやっていた」と不思議に思った。本人に確認すると「ママ（栄美さん）に教えてもらいました」と返ってきたが、「それはよかったな。なかなかいい相撲じゃないか」と後押しした。 　この日の会見では決まり文句の「うれシシ」を連発した獅司。ウクライナの母にも給料の半分を仕送りしている。これからは仕送りをもっと増やすことができる。幕内昇進は２人の母への恩返しとなった。