【独自】ラピダス 国内AI大手と協業へ AI向けデータセンターで
次世代半導体の量産を目指すラピダスは、国内AI開発大手のプリファード・ネットワークスと国内クラウドサービス大手のさくらインターネットと協業することを検討していることがテレビ東京の取材でわかった。プリファード・ネットワークスが設計したAI向け半導体を、ラピダスが受託生産し、さくらインターネットが手がけるAI向けデータセンターに納入する。 ラピダスにとっては大型の国内受注につながるもので、次世代半導体の設計・生産・納入までを一貫して国内で完結させる初めての事例となる。 ラピダスはこれまで米・IBMをはじめ、AI向け半導体設計の米・テンストレント、米・エスペラント・テクノロジーズと提携を発表し、”海外顧客”との提携を先行して進めてきた。国内では1000億円の政府出資を含む金融支援の枠組みの検討が進む中で、「国内で作っても国内の誰が使うのか」といった批判が一部で根強く、”国内顧客”の確保が急がれている。 そうした中で、プリファード・ネットワークスとさくらインターネットの国内大手2社との協業は、国内重要の開拓につながるほか、国内における半導体サプライチェーンの強靭化につながるものといえる。現在、AIの活用に欠かせないデーターセンター用の半導体は米・エヌビディアが開発するGPU(画像処理半導体)が9割以上の世界シェアを占める”1強状態”。GPUは高い電力消費が問題視される上、データーセンターの心臓部といえる半導体を海外に大きく依存する構造は、「経済安全保障上のリスクだ」と指摘する声もある。 ラピダスが目指す回路の線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートル相当の次世代半導体は、従来の半導体に比べて大幅に消費電力を抑えることができるとされ、今回の国内3社によるデータセンター向けのAI半導体の普及が進めば、電力問題の解決と経済安保の両面から国内でメリットが生まれそうだ。 ラピダスは来年4月から2ナノ半導体の試作を開始し、27年からの量産を目指す。製品の性能や歩留まりなどを見極めながら、3社は来年から具体的な検討を進める方針だ。