職場の「子持ち様」論争は、なぜ起きるのか? 解決するための1つの方法
SNSで炎上した「子持ち様」論争。子育て中の同僚のフォローに振り回され、モヤモヤを抱えている...そこには、「不公平感」と「怒り」の負のスパイラルが潜んでいます。どんどん余裕がなくなっていく職場でしんどさを軽くするヒントとは? 労働者メンタルヘルスの専門家である佐藤恵美さんによる書籍『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』から紹介します。(イラスト:坂本伊久子) 「管理職の罰ゲーム化」が加速する日本の職場...その原因とは? ※本稿は、佐藤恵美著『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
一方通行なのに「おたがいさま」?
最近、SNS上で「子持ち様」論争が話題となりました。次のような状況です。 【例】 「子どもが熱を出した」と同僚がまた急に休んだ。次の出社は、いつになるのかわからないとのこと。当然そのあいだの増員はなし。「困ったときはおたがいさま」とは思いつつも「休むのは権利」みたいな態度をされると腹が立つ。 実は、こうした論議は、最近にわかに注目されていることではなく、昔からずっとあるものです。フォローする立場からすると、急に休んだ同僚の仕事の穴埋めをするために終業後の予定を変更したり、残業したりといったことが起こるので、モヤモヤしてしまうのは仕方のないことです。 そこに、子育て中の当の本人から「休むのは権利」と言わんばかりの態度をされると、モヤモヤ以上の「怒り」の感情が生まれます。「子持ち様」という言葉は、「子育て中の人は、なんでも子どもを理由にできる」という特権があると思っている人を揶揄して命名したのでしょう。
いつも全方位に申し訳なさを感じている子育て世代
一方で、子育て中の人が、本当にそんな特権意識を持って振る舞っているかというと、そういう人はかなり少ないと思います。どんなに社会的に子育て支援の意識が高まったとしても、急に仕事を休んだり、早退したりしなければならないバツの悪さは、かなりのストレスです。 子どもをとれば職場に罪悪感、仕事をとれば子どもや家庭に罪悪感があり、祖父母などに面倒を見てもらうときも気を使い(そうしたサポートがあるともかぎりませんが)、いつも全方位に申し訳なさを感じながら仕事と子育てを続ける時期のつらさは、相当なものです。 「休むのは権利」といったドライな態度になるのも、毎日申し訳なさを感じているからこそ、開きなおって同僚に心の壁をつくるしかないのかもしれません。