職場の「子持ち様」論争は、なぜ起きるのか? 解決するための1つの方法
「いつか」から「今」のおたがいさまへ
結局、休む側もフォローする側も、どちらもしんどい思いをしています。こうした論議が堂々めぐりになってしまうのは、いつまでも埋まらない不公平感があるからです。 今、子育てをしていない人にとっては、「この先、子どもを持ったり、家族に介護が必要になったりするかもしれない」という不確定な「いつか」を前提にしたおたがいさまといえます。 しかし、「自分も、いつか子育てや介護で職場に迷惑をかけるかもしれない」といった、「いつか」のおたがいさまでは解決しないのです。 不公平感を解消する方法は、ただ1つ。 「いつか」ではなく「今」おたがいさまと思える制度設計や業務配分を実現するしかありません。子育てをしている人もしていない人も、だれもが自分の事情に合わせて働きやすさを「今」感じられているかが重要なのです。 ですので、子育て中の同僚のフォローがしんどいと感じている人は、そもそも今の職場に、ほかの要素でも働きにくさがある可能性があります。 相手に怒りを向けてしまうのは仕方がないとしても、「そもそも自分の業務量はどうか」「体調はどうか」「休みはとれているか」「自分も上司に相談したり、サポートを受けたりしているか」など、今の自分の状況を振り返ってみてください。
職場の疲弊するフォロー、やりがいのあるフォロー
「子持ち様」論争のように、職場には「もう勘弁してほしい」と言いたくなるような疲弊するフォローもあれば、それほど負担に感じないフォローもあります。その違いは、どこにあるのでしょうか。 「自分のやったことに『報われ感』という報酬があるかどうか」です。 報酬には、もちろん金銭的なものもありますが、それだけではなく「自分のやったことには価値や効果がある。役に立っている」と感じられる心理的な報酬もあります。 たとえば、次のようなことです。 ・自分がやったことに対して同僚から感謝の言葉があってうれしい ・Aさんへの指導は、今後の自分の成長にとっていい経験になったと思える ・後輩が自分のやり方を受けついで成長してくれてうれしい ・自分が提案したことが職場全体に広がっていって満足 ・自分がいることで職場をうまくまわせている感覚がある こうした心理的な報酬があれば、自分のフォローは無駄ではなくなります。人をフォローすることにエネルギーは使いますが、その見返りとしてのエネルギーがチャージされるので、ただ疲弊して嫌になってしまうことは避けられるわけです。