ナダル、19度目の出場で初めての初戦敗退「最後だとしても自分自身に満足している」。最後の全仏となるのか[全仏オープン]【テニス】
ナダルが全仏オープンで初めての初戦敗退
現地5月27日、「全仏オープン」(フランス・パリ)シングルス1回戦が行われ、今季限りでの引退の意向を明らかにしている元世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク275位)が、第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同4位)に3-6、6-7(5)、3-6で敗戦。同大会で初めて初戦で姿を消した。 【動画】ナダル、ズベレフに敗れて全仏オープンで初の初戦敗退 マッチハイライト 37歳のナダルは、今季での引退を示唆しており1月に約1年ぶりの復帰を果たしたものの、怪我で再び離脱。クレーコート・シーズンでカムバックを果たし、慣れ親しんだ自身の庭ともいえるサーフェスでの強さを徐々に取り戻してきた。史上最多14度の優勝を誇る全仏オープンは、2年ぶり19回目の出場となった。 引退示唆にとどまり、明言こそしていないものの全仏オープンで最後になる可能性もある。その勇姿を一目見ようと観客だけでなく、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/同1位)やカルロス・アルカラス(スペイン/同3位)らも足を運んだ。 割れんばかりの歓声で迎えられたナダルに対するは、前哨戦のATPマスターズ1000ローマを制したズベレフ。ナダルとは2022年の同大会準決勝、2セット途中で3時間越えの激闘の末に、ズベレフが右足首の靭帯断裂で途中棄権と悔しい思いを経験している。 試合は最初のポイントから激しいラリーが展開。ナダルの応援があるアウェイの中、高い集中力を持って質の高いテニスを見せたズベレフが第1ゲームをブレークすると、そのまま6-3で先取した。 巻き返したいナダルは、第2セットでは第4ゲームで2本のブレークポイントを防いでド派手なガッツポーズを作って、気持ちを露わに。流れを自ら引き寄せると、直後の第5ゲームでワンチャンスを生かしてこの試合最初のブレークに成功した。しかし、ナダルのサービング・フォー・ザ・セットとなった第10ゲーム、ズベレフもボールを高い打点で捕らえて積極的な攻撃を続けてブレークバック。タイブレークも制して、ナダルは後がなくなってしまう。 これまでの2セットとは異なり第3セットは、毎ゲームのようにブレークポイントが訪れる展開に。その中でナダルは第2ゲームでリードを奪ったものの、粘り切れずに3度のブレークを献上。最後までコートを駆けながらも敗れた“赤土の王者”に、観客はスタンディングオベーションで見送った。 今大会まで67度のグランドスラム出場で初戦敗退は、2013年のウィンブルドンと2016年の全豪オープンの2度のみだったナダル。今回で3度目、全仏オープンでは初出場の2005年から初めてである。 試合後、ナダルは復帰直後と比べたら良い準備ができたとし、プレーにも満足だとコメント。「もしここでプレーするのが最後だとしても、自分自身に満足しているよ。20年近く、この大会のためにあらゆる準備をしてきた。そして今日、この2年間でここに戻ってくることを夢見て、テニス人生の中で最も過酷なプロセスを味わってきた。負けたけど、それもビジネスの一部だ」と、この試合が最後の試合だったとしても納得できるものであるとした。 この後の目標については、今大会と同じ会場のローラン・ギャロスで開催されるパリ五輪。「ここに健康で万全の状態で到着できるよう、適切な方法で準備する必要がある」と語るように、「正直、(芝大会の出場は)難しそうだ」とウィンブルドンなどを含むグラスコート・シーズンは欠場する意向だ。 「チームと話し合う必要がある。多くの事実を分析する必要がある。僕の体に起きたことを考えると、まったく違うサーフェスに移行して、すぐにクレーに戻ってくるのは賢い選択だとは思えない」と違うサーフェスに順応できる状態に今はないとした。
Tennis Classic 編集部