最後に登場したZXR250は、クラス最強装備を備えたハイスペックマシン
最後発の面目を躍如する、ZXRのハイスペック
ZXR250は国内4メーカーの中で最後発となった水冷4ストロークDOHC16バルブ4気筒エンジン搭載車だが、いきなりフルスペックのレーサーレプリカとして登場した唯一の車種と言うこともできる。サイドカムチェーンを採用したエンジンは最高出力45PS/15,500rpm、最大トルク2.3kg-m/11,000rpmとトルクにおいてはライバルよりも10%程低かったものの、レッドゾーンは19,000rpmからという超高回転エンジンに仕立てられていた。 フレームは大型薄肉アルミ押し出し材を採用したダイヤモンド型E-BOXで、スイングアームはKIS-ARM(カワサキアイソストレインアーム)と呼ばれるアルミ製が採用されている。そして最も注目すべきは250ccクラスに初めて採用された41mm径の倒立フロントフォークで、プリロードと減衰力も調整可能のフルアジャスタブルタイプだった。また、ラムエアシステムやK-CAS(カワサキクールエアシステム)なども装備され、当時のカワサキが持てる技術を全て投入した、全部盛り仕様だったと言っても良いだろう。 ポジションはトップブリッジ下に付くセパレートハンドルとバックステップを組み合わせたレーシーなもので、アッパーカウルからタンクへとつながるK-CASのホースが独特のコクピットを生み出していた。「レーサーレプリカ」とはいうものの、実際には4ストロークの250ccを使用した国際規格のレースはなく、4ストロークが活躍していたのは400ccTT-F3の400cccと、TT-F1の750ccだった。 しかし、車検が必要なく当時の若者の絶対的な支持を受けた4ストローク250ccクラスのバイクに各メーカーの最先端技術を投入し、現在の大型スーパースポーツ並の装備が与えられることでさらに高い人気を博した。つまり、4気筒4ストロークの250cccモデルは、日本の車検制度が生んだ公道発のカテゴリーであったと言えるだろう。 この4ストローク250ccの人気の高さから、「SP250F」というレースカテゴリーが創設されることになった。このレースへの対応するモデルをラインナップするメーカーも出てきた。ZXR250にも大口径のキャブレターとクロスミッションが与えられた、特別仕様車となるZXR250Rが設定されている。1991年にヘッドライトを一体型の2灯タイプとしたC型へとモデルチェンジを行ない、ショートストローク化でエンジンレスポンスを向上、より軽量化されたメインフレームの採用などによって3kgの軽量化を果たしていた。