【独自】衆院選公報、知事選より部数3割減 岡山県内、短期同日選で配布業者確保できず
27日投開票の衆院選に向け、岡山県内の有権者世帯に配布される「選挙公報」の発行部数は58万1千部で、同日投開票の知事選の78万7千部と比べて3割近く少ないことが19日、県選管への取材で分かった。衆院解散から投票日までが戦後2番目に短い「超短期決戦」の日程に加え、知事選とのダブル選となった影響で全戸配布を委託する業者が確保できないケースが発生したためだ。 公選法は国政選と知事選について、候補者の公約や経歴をまとめた選挙公報の発行を都道府県選管に義務付け、市町村選管が投票日の2日前までに配布すると定めている。岡山県の場合、各市町村選管が必要部数を申告し、県選管が印刷して各市町村選管に引き渡している。 今回、衆院選の配布部数を大幅に削減したのが、県内最多の有権者がいる岡山市。知事選は県選管から36万500部を引き受け、配送業者を公募した上で配布する一方、衆院選は半数以下の16万2千部にとどめ、主に新聞折り込みで配ることとした。5月末に日程が固まった知事選に対し、衆院選は直前まで定まらず、委託業者を公募できなかったという。 岡山市選管は新聞未購読の世帯に向け、市のホームページ(HP)に選挙公報を置く公共施設や商業施設の計98カ所を記載。HPの申し込みフォームや電話による個別の送付希望も受け付けている。担当者は「各戸に届かないこと自体を知らない有権者もいる。いかに周知するかは大きな課題だ」と受け止める。 地元のシルバー人材センターに配布を委託してきた早島町も、知事選の5300部に対して衆院選は3千部に減らした。ダブル選に伴い人手が足らなくなったためで、衆院選は新聞折り込みに切り替え、町のHPから選挙公報を閲覧可能にするなどして対応する。 公選法は選挙公報の全戸配布が困難な場合、容易に入手できる補完措置が必要とも規定。一方、県選管によると県内ではマンパワーの不足などを背景に、多くの市町村選管が新聞折り込みを活用しているという。 県選管は「選挙公報は候補者の情報を公正公平に伝える重要な手段。各市町村選管にはさまざまな方法を組み合わせて周知をお願いしたい」としている。
現状の検証必要
【選挙制度に詳しい林紀行日本大教授(政治学)の話】 選挙日程を絞りにくい衆院選は選挙公報の全戸配布が難しい面もあるだろうが、選挙は公正公平が大原則であり、選挙の種類や市町村によって得られる情報が異なる現状を十分に検証する必要がある。岡山県内は区割りが改定され、なじみのない候補者を選ぶ地域については特に情報が平等に伝わるよう配慮が求められる。