イチロー氏がついに愛工大名電高で指導 実に18年ぶりの母校訪問に「怖さの方があったんだけど、気持ちのいい空気だった」
日米通算4367安打を記録したイチロー氏（51）＝マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター＝が18日、母校・愛工大名電高で臨時指導を行った。同氏が高校球児を指導するのは2020年の智弁和歌山に始まり、国学院久我山（東京）、千葉明徳、高松商（香川）、新宿（東京）、富士（静岡）、旭川東（北海道）、宮古（沖縄）、大冠（大阪）、岐阜に次いで11校目。 【写真】お好み焼きを焼くイチロー氏「ひっくり返すタイミングはセンシティブ」 2006年高校生ドラフト1巡目で同校から指名された堂上直倫が3年生だったときに練習見学に訪れて以来、実に18年ぶりとなるサプライズでの母校訪問。部員からの驚嘆の拍手に「そういうの、いらないから」と照れながら、9月の秋季愛知大会で3回戦で敗退した後輩に真っ先に厳しい言葉が口をついた。 「1回戦負けと一緒でしょ、愛工大名電にとっては。ベスト8は最低いってくれないと。（練習前に）寮や施設を見学させてもらいました。で、この成績はないでしょ。名電に入ってプレーしていることだけで、一定の満足感を得てしまう子もいるかもしれないけど、全然違うからね。（3年生に差し入れた）バッティンググローブは回収です」 自身は左翼手として2年夏、エースとして3年春に甲子園出場を果たした。それだけに歯がゆい思いもある。近年、データ野球を重視する母校の傾向を憂い、「それ（データ）だけじゃないこともある。データでがんじがらめになって、感性が消えていくのが現代の野球。自分で考えて動く、感性をもっと大事にして」と力説した。 「（ホームランを）入れないと、終われない。それがルールだから」と臨んだフリー打撃実演では両翼100メートル、中堅122メートルの専用球場で42スイング目で右越えにほうり込んで、「よっしゃー！」と雄たけびを上げた。 最後のあいさつでは「長い間、来ていないから、怖さの方があったんだけど、みんなと一緒に実際に練習して、やっぱり野球が好きな高校生。気持ちのいい空気だった」と振り返り、後輩たちに「名電のプライドを持って、しっかりプレーしてください。また来るかもしれません。母校ですから」と言葉を残して〝青春の場所〟を去った。 ■愛工大名電・倉野光生監督（イチロー氏が高校時代はコーチとして打撃投手やブルペン捕手を務める） 「生徒はびっくりしたんじゃない？ 私自身も今日の直前まで本当の本当に来てくれるのか、半信半疑ぐらいだったから。データとか今までのものと違うものを注入してもらって、選手にもすごく響くものがあったと思う。それにしても、引退していないよね。本人もそのまま、まだ〝イチロー〟という選手を継続しているよな」
