樋口恵子「ローバは一日にしてならず」「老いるショック」…「老い」はユーモアで笑いとばせ!樋口式<人生を楽しむメソッド>ご紹介
厚生労働省が公表している「令和4年簡易生命表」によると日本の平均寿命は、男性が約81歳、女性は約87歳だそう。年齢を重ねるごとに「老い」を感じる場面は増えますが、91歳で評論家として活躍している樋口恵子さんは、「せっかくの人生、機嫌よく生きなければもったいない!」と話します。さらに樋口さん、「人の心を動かす言葉の力を信じてきた私は、ユーモアの力も信じている」と言っていて――。 【書影】ヒグチさん(91歳)が愉快な日常を実況中継!樋口恵子『老いの上機嫌-90代! 笑う門には福来る』 * * * * * * * ◆「老い」をユーモアで笑いとばす 「ローバは一日にしてならず」。 数ある自作の造語のなかでもいちばん気に入っています。言わずもがなですが、「ローマは一日にしてならず」のもじりです。 ほかにも「老人よ、財布と大志を抱け!」は、講演会で皆さんから笑いを頂戴しますね。 いままでずいぶんたくさんの造語を本に書き、講演でご披露してきました。もともとダジャレも好きだし、ユーモア第一主義。そんな私にとって、造語の発明は楽しい時間です。 ご披露すると皆さんが笑ってくださるのでうれしいし、張り合いがあります。それに造語には、ひとことでパッと言いたいことが伝わる、というよさもあります。 さて、その「ローバは一日にしてならず」。年齢を重ねていくなかでは、男女ともども、膝や腰が痛くなったり、立ち上がるとき「ヨイショ」と思わず声が出たり。 やがて段差がないところでもつまずいて転ぶ「転倒適齢期」が訪れます。 「転倒適齢期」も最近の会心の作です。 老いは男にも女にも訪れますが、男性の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳(2022年発表)と女性のほうが長寿の傾向がある分、ローバ(老婆)として生きる時間が長いのが実情です。 とはいえいまの時代に生きる私たちは、ローバになる速度も昔にくらべてゆっくりです。
◆70代は老いの働き盛り 「70代はおしゃれ盛り」とばかり、自分らしい素敵なファッションを楽しむ人も増えていますし、お元気で活躍している方も大勢います。 ときおりファミリーレストランやコーヒー店などで70代と思しき方々の“女子会”をお見かけしますが、皆さんじつによく喋り、よく笑う。 どうやら箸が転んでもおかしいお年頃のようです。 ですから70代に、まだまだ「ローバ」なんて言葉は似合わない。 ちなみにマンガ『サザエさん』でおばあさんとして描かれているフネさんの年齢は、50代の設定です。いま思えば、隔世の感があります。 私自身、70代はまだまだ血気盛んでした。 なにせ「70代は老いの働き盛り」などと威勢のよいことを言い、今日はこちらで講演、明日はあちらでシンポジウムと全国を飛び回り、その合間に執筆。 嵐のような日々でした。ちなみに「70代は老いの働き盛り」という考えは、いまも変わっていません。
【関連記事】
- 樋口恵子 怪我に病気<不機嫌のタネ>ばかりの高齢期を上機嫌に生きるには…「楽しく」は難しくとも「楽しげに」なら誰でもできる
- 樋口恵子 残り少ない人生なのにみんな友達づきあいや親子関係に悩んでいて…人間関係の問題は<棚上げ方式>であの世にもっていこう
- 樋口恵子「高齢者ひとりでも大丈夫」と思いたいけれど、全然大丈夫じゃないと老いて実感。同居家族がいても「おひとり死」はありうることと心得るべし
- 樋口恵子 ピンピンコロリが理想でも、現実はそう簡単にいかない…ドタリと倒れてから「さてどうやって生き延びるか」こそが大きな課題
- 樋口恵子 補聴器で医療控除が受けられず「老い」にはお金がかかると実感。心配してもしょうがない、老いが来たら「来た!」と思うしかない