12歳の少女が見た昭和57年 私の中学は校内暴力で大荒れ「ネアカ」でなんていられない プレイバック「昭和100年」
<当時の出来事や世相を「12歳の子供」の目線で振り返ります。ぜひ、ご家族、ご友人、幼なじみの方と共有してください。> 中学校に入学したくない。私の学区の中学は校内暴力ですごく荒れているからだ。よく行く駄菓子屋の辺りにもリーゼントやそりこみの怖い中学生がたくさん座っていて入れない。 だぶだぶのボンタンに短ラン、中ラン、長ラン姿。たばこも平気で吸っている。先生を殴った生徒もおり、この春の卒業式は学校にパトカーが来て警察官が見張る中で行われたそうだ。同じような学校が全国に600校以上もあったらしい。 うちは私立に行くほど余裕はないし、友達もほとんどがこの中学に行くから仕方がないけど、小学校のクラスの中にはツッパリに憧れて中学生とつるんでいる男の子もいて嫌になる。こういう気分を憂鬱というのかしら。 この年は、大勢が亡くなる出来事が多かった。2月8日の未明に起きたホテルニュージャパンの火災では33人が死亡、けがをした人も30人以上いた。翌日には福岡発の日航機が羽田沖に墜落、24人が亡くなり、149人がけがをした。2日続けて大きなニュースがあったことにもびっくりした。テレビのリポーターも同じ人がよれよれになって現場から中継していた。 ただ、これらは防げた事故だったらしい。ニュージャパンはスプリンクラーなどの消火設備が充実していなかったことが問題になり、日航機は機長が逆噴射装置を動かしたことが原因だったようだ。「逆噴射」という言葉がはやって、男子がよく使っていた。 7月には長崎でものすごい集中豪雨があり、死者や行方不明者が300人近くにもなった。ある場所では1時間に187ミリの雨を記録した。どのくらいの量かお父さんに聞いたら「1日でその量でも大変なことになる」と言っていた。 世界では4月に「フォークランド紛争」が始まった。「戦争」じゃなく「紛争」と言っているが私には違いがよくわからない。「戦争」と呼んでいる国もあるそうだ。世界では時々、私のよく知らない国で争いが起きるが、今回は有名なイギリスとアルゼンチンだったので驚いた。こんな大国同士の争いは第二次大戦以来とニュースで言っていて怖かった。2カ月半くらいで終わったものの、双方で900人以上死者が出たらしい。 私は争いとかけんかとかがすごく嫌いなので、乱暴でがさつな男子はとても苦手だ。でも先日、大林宣彦監督の「転校生」という男子と女子が入れ替わる話の映画を見て、男子もいろいろと大変だなあと思うようになった。普通の男子とはもう少し仲良くしようと思う。