牛乳と一緒に食べるだけでいい…専門家が断言する「運動疲れを消す」コンビニで買える"最強の回復食"
筋トレやスポーツをしたあとは、どんな食事を摂ればいいのか。立命館大学スポーツ健康科学部の後藤一成教授は「筋肉を回復させるために積極的に糖質とタンパク質を摂取したほうがいい。糖質はお菓子やジュースではなく米や麺類などの炭水化物で補うのが効果的だ」という――。(第2回) 【図表】運動後における糖質+タンパク質摂取の効果 ※本稿は、後藤一成『最新のスポーツ科学で強くなる!』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。 ■激しい運動のあとはおにぎりを食べたほうが良い 長時間の運動(練習)を行うと、筋肉のグリコーゲンが大きく減少します。また、ダッシュやジャンプなどの動作を繰り返す中で、筋肉には微細な損傷が生じます。そのため、運動後は速やかに栄養を補給し、次回の運動に向けて準備する必要があります。さて、この際、どのような栄養素を摂取すると良いでしょうか? まず、グリコーゲンを回復させるためには糖質(炭水化物)(*1)摂取が必要です。「糖質=砂糖」とイメージされる方もいるでしょうが、糖質には幾つかの種類があります。 砂糖(ショ糖)は二糖類と分類されますが、運動後に積極的に摂取していただきたいのは多糖類(デンプンなど)です。具体的には、お米や消化吸収に優れたエネルギーゼリー(マルトデキストリン)などです。 練習後に「おにぎり」を食べることを推奨される指導者もいますが、グリコーゲンを回復させる上で効果的です。夕方以降に、部活帰りと思われる高校生がお菓子を食べている姿を目にすることもありますが、空腹を満たすためのお菓子ではなく、「おにぎり」や「エネルギーゼリー」を選ぶべきです。 (*1)炭水化物は、消化されエネルギー源となる「糖質」と消化されない「食物繊維」に分類されます。運動をする時に重要となるのは糖質ですので、この本で用いる「炭水化物」という言葉は「糖質」を指しています。
■運動した直後に糖質を補給すべき もう一つのポイントは、糖質を摂取するタイミングです。運動後速やかに糖質を摂取すると、グリコーゲンの回復が早くなります。図表1は、長時間の運動によって筋肉のグリコーゲンが枯渇した直後に糖質の含まれた飲料を摂取した場合と、同じ飲料を運動の2時間後に摂取した場合のグリコーゲンの回復の違いを示したグラフです。 運動直後に糖質を摂取した場合には、運動後最初の2時間でグリコーゲンが急激に回復していることがわかります。一方で、運動2時間後に糖質を摂取した場合、その後(運動2~4時間後)、グリコーゲンの回復速度が最大になることはありません。このことからも、「運動後速やかに糖質を摂取する」ことの重要性を理解できます。 一方、練習後速やかに栄養満点の食事をとることは難しいでしょうから、おにぎり、バナナ、エネルギーゼリーなどを準備しておくと良いでしょう。 ■カロリーは同じでも、栄養素によって効果が違う タンパク質というと、私達は「筋肉づくり」をイメージします。身体を大きくしたいスポーツ選手が、筋力トレーニングを行った後、プロテインパウダーでタンパク質を摂取する、これが一般的なイメージではないでしょうか? 一方、スタミナが必要な陸上競技の長距離選手が練習後にプロテインパウダーを摂取する光景はあまり目にしません。この点に関して、重要な研究結果を紹介します。 図表2は、長時間の運動後に、「糖質80gを摂取した場合」「糖質108gを摂取した場合」「糖質80g+タンパク質24gを摂取した場合」でのグリコーゲンの回復の様子を示したグラフです。 その結果、「糖質80g」に比べて「糖質108g」の方が筋肉のグリコーゲンの回復は早いことがわかります。これは予想通りの結果です。注目していただきたいのが、「糖質80g+タンパク質24g」の条件です。 糖質の摂取量は「糖質108g」よりも少ないのですが、タンパク質24gを加えることでグリコーゲンの回復が早くなっているのです。ちなみに、「糖質108g」と「糖質80g+タンパク質24g」の摂取カロリーは同じです。