続く暫定税率や二重課税、13年超車への重課税…日本の自動車税制はおかしすぎる!!
2024年も12月に入り、翌年度以降の税制についての具体的な方針をまとめる税制改正大綱の2025年度版が公表されるタイミングが近づいてきました。例年ですと、12月中旬ごろに公表されますが、今年は先の衆議院議員選挙で与党が過半数割れとなったことなどによって、もう少しずれ込む可能性が指摘されています。 【画像ギャラリー】続く暫定税率や二重課税、13年超車への重課税…日本の自動車税制はおかしすぎる!!(8枚) 扶養控除の見直しや、住宅ローン減税の子育て世帯優遇延長など、我々の生活に直結する注目ポイントもいくつかありますが、やはりクルマに関係する仕事をしているものとしては、自動車関連諸税の動向は気になるところ。各省庁から提出された2025年度税制改正要望を確認しながら、日本のおかしな自動車関連諸税について振り返りましょう。 文:エムスリープロダクション/アイキャッチ画像:Adobe Stock_xreflex/写真:Adobe Stock、写真AC
購入・所有・使用のすべてに税金が課せられている
自動車関連諸税としては、クルマの取得時にかかる自動車税/軽自動車税(環境性能割)のほか、毎年4月1日時点の所有者に課せられる「自動車税/軽自動車税(種別割)」、新車取得時や車検時に課せられる「自動車重量税」、また、使用をする際に必要な燃料に課せられる「ガソリン税」もあります。購入時には、消費税も課せられますし、ガソリンも(諸税込みの)単価×入れた量に対して、消費税が課せられます。 買ったら課税、保有しているだけでも課税、走ったらまた課税、しかも税金を含んだ価格に課税(二重課税)という、おかしな日本の自動車関連諸税。JAFによると、クルマユーザーが負担しているこれらの税金は、国の租税総収入の約7.9%にもなるそうです。
続く暫定税率に加えて二重課税など、問題が多いガソリン税
なかでも問題視されているのは、ガソリン税です。「ガソリン税」は、揮発油税と地方揮発油税をあわせたもので、1.0Lあたり53.8円となかなかの税額。石油石炭税(2.8円/L)なども課せられており、本体価格とこれら税金を合わせた金額に、さらに10%の消費税が課せられています。ガソリン税と石油石炭税をあわせると、1.0Lあたり56.6円にも。 たとえば、1.0Lあたり160円だとすると、うち56.6円が税金なので、本体価格は88.85 円(160-ガソリン税+石油石炭税56.6円+消費税14.55円)。およそ56%が税金ということになります。 (本体価格にもよりますが)半分以上が税金、というのも驚きなのですが、問題なのは、ガソリン税の暫定税率。ガソリン税(揮発油税と地方揮発油税)53.8円/Lのうち、25.1円/Lは、いまから50年前に道路整備のさらなる拡充のため、道路特定財源として暫定で始まったもの。道路をつくるために暫定で、として納めていた税金です。ただ、ガソリン税が2009年に一般財源化されたあとも、期間の定めなく、「当分の間」として、そのまま続いています。 この「当分の間」税率には、レギュラーガソリンの全国平均が3ヶ月連続で高騰すると停止され、揮発油税等の本則税率(28.7円/L)が適用されるという規定(トリガー条項)があるのですが、それも、2011年の東日本大震災の復興財源確保のために凍結されてしまったまま。2023年度の環境省税制改正要望結果の概要をみると、「グリーン化の観点化から当分の間税率を維持する」とされています。 さらに、この諸税含む価格に対して、10%の消費税が課されるという二重課税状態でもあるなど、ガソリン税は問題が多いのです。