親の介護はして当たり前? “家族幻想”が強い日本の固定概念を日本人心理学者が分析...知らぬ間に子どもを束縛するケースも
何歳になっても、母親にとって「娘」はいつまでも娘。とはいえ、その"関係性"は徐々に変化していくのも当然だ。では、世間でよく言う“毒親”とはなんなのだろう。母娘の関係性における悩みは、決してひとごとではない。 【写真】不眠、冷え、偏頭痛など「大人の"なんとなく不調"」を助けるお悩み別ハーブコスメ “毒親”──1989年にスーザン・フォワードが上梓した『Toxic Parents, Overcoming Their Hurtful Legacy and Reclaiming Your Life』(『毒になる親 一生苦しむ子供』講談社)という著書から広まった言葉。過干渉やネグレクトなど、自分の思うままに支配的に子どもを育てていく"自己愛が強い母親"のことを主に指している。日本では、がんじがらめになった母と娘の関係が2000年前後から話題にのぼり、数々の著書や体験談をつづったエッセイやマンガは今でも数多く登場している。毒母というと、母親との関係性が強い10~20代の話と思いがちだが、実際には30代、40代でも悩んでいる人は多い。 「社会に出たり結婚して母親から離れたと思っていたのに、母親との関係に悩む女性は少なくありません。未婚であれば結婚に対してとやかく口を出し、孫にも過干渉の連鎖が始まり、幼いころの呪縛が再燃しているケースもあります。また、40代以降は、親の介護も新たに加わってきます。一時離れた親子関係がまた濃密になる人も多い。そこで再び、毒親の呪縛に苦しんでいる人が多いのです」と説明するのは、毒親に関する著書を数多く持つ、心理学者で臨床心理士の信田さよ子先生。 “娘のために人生をささげてきたのだから、私の老後の面倒を見るのは当たり前”と迫ってくる。例えばこれは、48歳女性のケースだ。 「幼いころから独裁的な母で、進路も就職も逆らうことができなかった。結婚し、やっと母との関係に距離が置けると思ったら、昨年父が急死。“ひとりではさみしい”“どうして会いに来ないのか”“母親が心配ではないのか”と毎日のようにメールや電話が。会いに行くと、“お金をかけて育てたのに、同居もしてくれない”と泣かれてしまうことも。母親にうんざりしながらも、老いた母に優しくできない、応えてあげられない自分が悪いような気がして。同居すべきなのか悩み続けています」 結局この女性は、自分が我慢するしか選択肢はない、と結論づけた。しかし信田先生は、次のように分析する。