いまの「レンタルビデオ業界」は「動画サブスク」に比べてどれくらいの市場規模なのか?
蔦屋書店のFCを手がけるトップカルチャーは「レンタル」撤退を発表済み
レンタルビデオ業界の市場規模縮小は、いわゆる「メガフランチャイジー」の動向にも影響を与えています。 たとえば長らくTSUTAYAのフランチャイズ店舗運営を手がけてきた、株式会社トップカルチャーは2021年7月にレンタル事業からの撤退を発表しています。 もっとも、レンタルビデオ業界の市場規模417億円(2023年時点)は決して小さくない数字であるとも言えます。「レンタルに需要が全くない」とは言えないでしょう。実際にはトップカルチャーのレンタル事業からの撤退は、2024年現在も「少しずつ、業態転換とセットで進んでいる」段階であると見られます。 なお、同社は化粧品専門店のほか、お取り寄せ菓子売り場や高級食品スーパーなどを店舗内に設け、来店客数や来店頻度の増加を目指す方針を打ち出しています。積極的に、蔦屋書店の店舗内への専門店オープンも進めています。 ■「郵送型DVDレンタル」はレンタルビデオ業界を支えうるのか? なおレンタルビデオ業界の今後について考える際、サブスク解禁されていないマイナー作品などを中心とした「郵送型DVDレンタル」には活路が見いだせるのでは? と考える方もいるでしょう。国内の有名な郵送型DVDレンタルには、TSUTAYA DISCASが挙げられます。
郵送型DVDレンタルの市場について考える際には、海外事例が参考になります。たとえばNetflixはもともと郵送型DVDレンタル事業を手がけていた事業者です。そして動画サブスクの代表格となった後も、郵送型DVDレンタルの事業はひっそりと継続されていました。 全米ラジオネットワークのNPRによれば、2022年には110万人~130万人の加入者が存在。1億4570万ドルの収益を上げていましたが、2023年には事業の終了を発表。この加入者数と売り上げは、一見大きい数字のように思えます。しかし、同時期における「動画サブスクとしてのNetflix」の加入者数は世界中で2億3,250万人。郵送型DVDレンタルと動画サブスクは、規模感において比べものにならないことが分かります。 つまり郵送型DVDレンタルには一定の需要がありますが、動画サブスクの方が市場規模も需要も大きいのは確か。そしてDVDレンタルにはピッキングや配送、また郵送コストが生じる。またサブスク解禁されていない古い作品などが需要の中心となり得るであろう考えた際、ニーズは「一定程度あるかもしれないが、限定的」でもあると言えます。 こうした海外事例を踏まえて考えると、国内の郵送型DVDレンタルもまた「一定の需要こそありつつも、中長期的な市場規模拡大が期待できるかは微妙」と言えるかもしれません。前年比27%減といったペースで市場縮小が続くレンタルビデオ業界を支える規模感まで、今後拡大するサービスかと言えば疑問符も付くでしょう。