「りりちゃん事件」で捜査のメスが入ったホストクラブの闇 渋井哲也
立憲民主党が改正案を衆議院に提出
立憲民主党は6月、「悪質ホストクラブ被害防止法案」(=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案)を衆議院に提出した。趣旨としては、悪質ホストによって若年女性が高額な借金を背負わされる被害が増加しているため、被害を未然に防止することだ。支払い能力を超えた高額な借金を規制することを狙いとしている。 6月の参議院本会議で、塩村議員は「悪質ホスト問題の根本的解決には、被害者のマインドコントロールからの解放が重要です。マインドコントロールされている状態では自分自身で適切な判断を下すことが困難であるため、医療の介入も必要と考えます」と述べている。 ちなみに、23年11月に提出した議員立法「悪質ホストクラブ被害対策推進法案」は、与党の理解が得られず、継続審議となっていた。そのために、党単独で立案したもので、風俗営業適正化法を改正し、遵守事項に「接待飲食営業を含む風俗営業者は、その営業に関し、客がその支払い能力に照らし不相当に高額の債務を負担することがないようにするために必要な措置を講ずるものとする」を追加する、というものだった。しかし、改正は実現していない。
この夏、大久保公園付近の光景は変わったか
7月や8月の大久保公園付近は、夏休み前後でもあるためか、それまでよりも立ちんぼ女性たちがいる時間がやや早くなっている印象を受けた。1人で立っている女性だけでなく、2人や3人で立っている女性たちもいる。外国人男性も目立つようになったが、8月末の昼間、女性に「2000円でどうですか?」と聞いていた。 また、公園周辺だけでなく、公園から少し離れた場所、例えば、バッティングセンター付近など、立っている場所が拡大している。 新宿区ではホストクラブの売掛金システムは禁止とされているが、どうなっているのか。 「自分の担当ホストの時間が空いた21時半とか22時くらいに電話連絡がくるんです。“空いたよ”ってなったら、“じゃあ、今から行く”みたいになっています。『売り掛け』はなくなったようですが、『立て替え』という名前になっています。担当ホストと女性との個人的な、貸し借りみたいなものですね。女性が借金をすることは変わりなく、担当ホストがお店に客の支払いを立て替える仕組みです。それと、はっきりとは裏が取れていないのですが、闇金などを紹介するケースもあるようです。入り口は(アコムやレイクなどの)消費者金融で、結局は闇金に繋げるってことなんじゃないでしょうか」(前出の坂本さん) ホストが店に立て替えるとなると、売れっ子のホストが優位になる。 「ホストの売れ行きは、立て替え能力で差がつきます。高額になればなるほど、女性客がそこまでお金を作れるのか、になってしまいます。これができないときは“飛ぶ”。だから飛ぶ人間が増えるんでしょうね。その意味で、ホストも立替金の回収に必死になる」(同) これによって、ホスト通いの立ちんぼ女性は減るのだろうか。以前取材した、ホストに依存している女性もいまだに立っている。 「多分、(立ちんぼの女性は)減らないと思います。結局、女性はホストクラブに行きたい。立っている女性たちは、ホストなど誰かに言われたから立っているというよりは、情報を得て、自分の意志で立っています。もちろん、ホストから色恋を使われて、騙されている女性もいるんでしょうけど、我々みたいな支援団体が介入をするのは余計なお世話だと思われています。“私が好きでやっているんだからほっといて”というのが多分、一番多い本音かなと思います。実際にはそう言われたことはないですけど……」(同)