「りりちゃん事件」で捜査のメスが入ったホストクラブの闇 渋井哲也
女性の傾向は短いスパンで変わる
24年5月ごろにも、筆者は大久保公園付近を取材していた。前出の坂本さんは、NPO法人の案内を記したティッシュを配っていた。 「立っている女性の傾向は短いスパンで変わりますね。最近は21時以降立ち始めます。そういう場合、以前であれば、2~3カ月間はその状況が続きました。しかし、今は1カ月もしないうちに、立つ場所が変わってみたり、時間が変わってみたりします。かなり流動的です」 24年4月、過去の立ちんぼ行為について、売春の相手を待っていた容疑で28歳の女性が逮捕された。その女性は「橋本環奈似」として知られていた。それまでは現行犯逮捕のケースばかりだったが、目立った女性を警察がマークしていたということだろう。 「23年9月以降、警視庁の取り締まりが激しくなってから、立ちんぼの女性は、警察の動向を見て、(大久保公園周辺に)出てくるようになりました。警察は、制服も私服もいます。私服でもそれっぽいのでわかったりします。また、警視庁のビブスをつけて、拡声器を持って“この場に立っていると、客待ち行為にみなされます。関係ない人は、立ち去ってください”などと注意したりしています。同様なことを私服でやるグループも出てきています。こうしたことがあるため、売春目的で立つ時間が遅くなりました。ただ、体感ですので、その日によって違います」(坂本さん) では、立ちんぼの女性は、実際に立つまでの時間は何をしているのか。歌舞伎町を歩いてみると、出会いカフェで相手を見つけている場合もあれば、マッチングアプリで探す人もいれば、SNSでのナンパ待ちする人もいる。しかし、効率がよいとは言えない。 「寝床がネットカフェの人は、ネットカフェにいるんでしょう。風俗店やキャバクラ、ラウンジ、ガールズバーなどに在籍していれば、出勤の可能性もある。うちみたいな支援団体につながっている女性は、団体の事務所に来たりします。そして、一定の時間になったら、“お金ないんでそろそろ今日は(公園付近に)行くわ”みたいな感じになります。お金目的であれば、もっと稼ぐ方法を探すと思うんですが、遊びに来ていたり、歌舞伎町が居場所になっている人もいます。事務所に来れば同じような環境の子がいる。だから安心もするでしょうし……」(同)